天然的生活 第43回 ~無患子(ムクロジ)

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天然100%の植物せっけん

ムクロジは、ライチやランブータン、リュウガンなど

南国フルーツの仲間ではあるものの、

その強い苦みから、めったに食されることはない。

 

日本では全国各地の山林に野生し、

日本人は羽子板に使う羽根の重りとして、ムクロジの種を用いている。

18世紀の日本の書物に、「果実の外皮を俗にシャボンと呼び、

脂汚れの衣を洗うに用ゆ」という記述がある。

これは、ムクロジの果皮に含まれる天然の界面活性成分〝サポニン〟が、

水に溶けると泡立つ性質を持っているためである。

また、中国の本草書にも、洗髪・洗顔に用いたという記録が残されている。

 

最近は油脂から作るせっけんや、

石油から作る合成洗剤が主流となっているが、

環境汚染や安全性の観点から、〝ソープナッツ〟などと呼ばれ、

好んで使用する人も少しずつだが増えてきているとか。

とくに敏感肌の人は、身体に触れるものを洗う時にオススメだ。

 

生薬としては、秋に果皮を集めて天日干しし、

乾燥させたものを「延命皮(えんめいひ)」という。

この延命皮は、抗炎症、抗菌作用を持つほか、

補水効果や美白効果まで期待できるとか。

天然成分100%の植物性せっけんで、

お肌にも環境にもやさしく暮らそう。

 

~広東ジャピオン2013年2月25日号

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