水滸巡礼~108の足跡~安道全(あんどうぜん) 第36回

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325水滸巡礼 人物

神の腕前をもつ名医

殺人者となって入山

 

安道全はもと建康府の医師。

代々医者の家系で、内科と外科のどちらにも精通していた。

女好きな一面はあったが、

彼に治せぬ病はこの世にないと言われるほどの腕前だったことから、

「神医(しんい)」と呼ばれた。

 

325水滸巡礼 縦風景

四川省の十大古鎮の1つ、上里古鎮。

かつては「羅縄」と呼ばれ、

南方シルクロードの重要拠点であった

 

ある日、安道全のもとに梁山泊の将、張順が訪ねてくる。

彼が来たのはほかでもない。

宋江が戦の最中、原因不明の病に倒れたため、

名医・安道全を山塞に連れて帰り、

宋江の病を治してもらおうと思ったのだった。

張順は以前、母親の病を彼に治療してもらったことがあり、

彼に全幅の信頼を寄せていた。

安道全は、あの宋江が病と聞いて、梁山泊へ向かうことを決意。

しかし、傍にいた妓女・李巧奴(りこうど)が彼を引きとめ、

安道全も彼女から離れたくないばかりに行くのをためらった。

そして、張順は夜中に李巧奴を襲い、

彼女の母親も殺して、壁に「殺したのは安道全」とまで書いた。

殺人犯に仕立て上げられた安道全は、

梁山泊に行くほかなく、宋江のもとに向かった。

 

安道全は見事宋江の病を治し、その功績が認められ、入山。

その後は林冲や王英などが戦で傷を負ったり、

宋江が再び病に倒れたりした時も、治癒に当たるなど、

山塞随一の医師として欠かせない存在となった。

 

325水滸巡礼 横風景

碧峰峡は四川盆地南西域に位置する。

千層岩瀑布や青龍潭瀑布など、複数の滝が見物

 

安道全の故郷、四川省雅安市。

雅安貢魚と呼ばれる魚が名物で、

降雨量が多く、さらに美人を多く輩出する地域と言われ、

「雅雨、雅魚、雅女」は「雅安三絶(雅安3つの欠かせないもの)」とされている。

その雅安に、2013年4月20日大地震が襲った。

神医・安道全を産んだ美しい雅安の復興を願うばかりだ。

 

325水滸巡礼 地図

 

~広東ジャピオン2014年10月13日号

 

 

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