民族訪ねて三千里~アチャン族 第6回

240minzoku

 

 

南はミャンマーまで

天地を作る創世神話

 

アチャン族は、雲南省西部から国境を跨いでミャンマーにも住んでいる。

彼らの居住地を囲むように流れる怒江は

ミャンマーでサルウィン川、瀾滄江はタイでメコン川と

それぞれ名称を変える。

 

アチャン族には、古くから伝わる「ジェパンマとジェミマ」という創世神話がある。

天地が誕生する前、一筋の光が差し込み、

混沌とした世界は光明と暗黒に分かれた。

その際に生まれた天公ジェパンマは天、

地母ジェミマは地をそれぞれ創った。

2人は天と地が重なる山の頂上で出会い、

ジェミマはひと粒の卵を産み落とした。

9年後、9人の女の子が生まれ、

ジェパンマとジェミマは災難や病気を取り除く占いや、

狩猟、料理など生活についての知識を授けた。

これが最初の人類である。

このような創世・人類始祖物語は、

アチャン族に限らず、雲南省を中心とする少数民族の特徴だ。

 

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1.アチャン族の女性。結婚後は円筒形の帽子を被る。

同族内での同姓の結婚が認められていない珍しい文化もある

2.瑞麗市の姐勒金塔。ミャンマー文化の影響が色濃く出ている

3雲貴高原の虎跳峡。谷底まで3,000メートル以上もある険しい峡谷

 

また、アチャン族は、祝祭日に未婚の若者が集まり、

求愛の歌を掛けあう「歌垣」の風習がある。

かつてはアチャン族の夫婦の7割以上が歌を通して結ばれたが、

現在はやはり少なくなったとか。

歌垣の前には、鳥獣の動きや自然現象を模した「ウォロの踊り」で、

遠くから来た客人を歓迎する。

 

雲南省は稲作や焼畑が生活の主収入だったが、

明代頃から鉄器の製造を初め、飛躍的な進歩を遂げた。

現在も鉄細工は有名で、

特に「戶撒刀」という刀の質の高さは群を抜いている。

 

雲南省は宣威ハムや米線(ビーフン)など料理が豊かな地域で、

納豆やコンニャクも食すなど、日本食とも近い。

雲南ではグルメ旅行としゃれ込みたい。

 

~広東ジャピオン2013年1月7日号

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