水滸巡礼~108の足跡~樊瑞(はんずい)

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混乱を招く魔王
樊瑞(はんずい)

ゆかりの地 河南省濮陽市範県
あだ名 混世魔王
職業 歩兵軍将校
宿星 地然星

河南省濮陽市範県出身。同省芒碭山に籠る小賊の第1頭領で、

副頭領の李袞(りこん)、項充(こうじゅう)らとともに3000の兵を率いた。

敵対する梁山泊軍を一度は敗退させるも、宋江の義に感服し、入山。

その後は歩兵軍で活躍し、方臘の戦い後は出家した。

 

天変地異を招く道士
公孫勝から術を授か

 

樊瑞は芒碭山を根城にする山賊の首領。

幼少から修行を積んで道士となり、黒い道服に身を包み風雨を呼び起こす力を持った。

世を渡り歩き、ひとかどの武芸を身に付け、

戦場では、縄の先に錘をつけた武器「流星鎚(りゅうせいつい)」を巧みに操る。

この道術と武術を恐れる民から「混世魔王(こんせいまおう)」と呼ばれた。

 

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漢字を発明したとされる蒼頡(そうけつ)が眠る、蒼頡墓。

濮陽市南楽県に位置する

 

ある日樊瑞は、部下の李袞(りこん)らと梁山泊を併呑する計画を立てる。

それを知った梁山泊軍の史進(ししん)は、先んじて芒碭山に攻め入り、樊瑞と対峙した。

李袞、項充の攻撃に加え、樊瑞の相手を惑わせる道術の前に、

史進らはなす術もなく敗退。

しかし樊瑞が勝利の喜びに浸っていたのも束の間、梁山泊から第2陣が攻めて来た。

対する樊瑞は流星鎚片手に呪文を唱え、狂風を巻き起こす。

辺りに濛々と舞い上がる砂が立ち込めると、辺りは暗くなり、

梁山泊はこの時を待っていたとばかりに、

李袞と項充らの隙を突いて、側面から2人を捕縛。
しばらくして、樊瑞のもとに捕らえられた2人が戻って来る。

樊瑞は2人を解放した宋江の義に感服し、仲間入りを決めた。

 

山塞にはすでに、世に名が知られる、公孫勝(こうそんしょう)なる道士がいた。

樊瑞は入山後、彼に師事し、雷を起こす道術の奥義「五雷天心」の正法を伝授してもらい、

梁山泊主力の一翼を担うことになった。

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濮陽玉皇閣。1531年に建立された道教寺院で、「玉皇大帝」なる神を祀っている

 

樊瑞の故郷、河南省濮陽市範県。

同省北東部に位置するこの地は、

清朝に現れた揚州を代表する一群の個性派文人画家「楊州八怪」の1人、

鄭板橋(ていばんきょう)が官吏を務めた地として有名だ。

『水滸伝』で一際異彩を放つ怪人、樊瑞の道術はこの地から生まれた。

 

351-462水滸巡礼地図

 

~広東ジャピオン2015年5月4日号

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