水滸巡礼~108の足跡~龔旺(きょうおう) 第35回

suiko-title

324 水滸巡礼 人物

空から降り注ぐ槍

戦場に舞う2人の副将

 

龔旺はかつて、東昌府(現山東省聊城市)で、

同府の将軍・張清の副将の任に就いていた。

同様に副将を務める丁得孫とともに、

張清が危地に陥れば、

得物の投擲武器「飛槍(ひそう)」で助けに出た。

全身に虎のような斑紋、また首には虎の刺青があったことから

「花項虎(かこうこ)」と呼ばれていた。

 

324 水滸巡礼 風景縦

莫干山。

春秋・戦国時代の刀鍛冶、

干将(かんしょう)とその妻、莫耶(ばくや)が

ここで剣を作ったことに由来する

 

ある日、東昌府に

梁山泊の盧俊義(ろしゅんぎ)の軍が攻め込んできた。

張青は石つぶて、龔旺は飛槍、丁得孫は「飛叉(ひさ)」と、

各々の飛び道具で応戦。

3人は将校たちをことごとく打ち破ったうえ、

梁山泊軍の1人、劉唐(りゅうとう)を捕虜にし、

戦は東昌府に有利に運んでいたと思われた。

が、そこに宋江の援軍が到着。

龔旺が、苦戦し始めた張清を救出に向かおうとした龔旺の前に、

梁山泊の猛将、林冲と花栄が立ちはだかる。

豪傑2人を相手に、龔旺は必死の攻防戦を繰り広げるが、

頼みの綱だった投げ槍が尽き、

生け捕りにされてしまうのだった。

 

最後は相棒の丁得孫、

そして大将の張清も呉用の策で捕らえられてしまった。

しかし、宋江は彼らの健闘ぶりに感心し、入山を勧める。

張清が潔く梁山泊入りを決めたので、

龔旺らも将軍に従い、ともに入山。

その後は、丁得孫と自慢の投擲武器で

数々の功績を挙げていった。

 

324 水滸巡礼 風景横

新市鎮は江南地方を代表する水郷の1つ。

総面積92km²で、昔ながらの街並みが残る

 

龔旺が倒れた浙江省湖州市徳清県。

長江デルタ地帯に位置するこの地は、

避暑地として知られる莫干山や下渚湖、

水郷の新市鎮など、複数の観光資源を有する。

最期は無念の戦死を遂げたが、

宋に抗い、弱き民を救うという、

彼の槍のように真っ直ぐな志は、

多くの人に心を貫いたことだろう。

 

324水滸巡礼 地図

 

~広東ジャピオン2014年10月6日号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新号の電子版はこちらから

PAGE TOP