中国北部の水稲の里
始祖伝説の伝わる山
朝鮮族は、中国東北部の三省を中心に暮らし、
朝鮮半島以外では世界最大のコミュニティを形成する。
この一帯は、良質で栄養に富んだ白米を産出することから、
〝水稲の里〟と讃えられている。
最近では、伝統的な餅つきの習慣は、電動餅つき機に取って代わったとか。
朝鮮族は、独自の習俗を重視しており、チマ・チョゴリなどの民族衣装、
パンソリ、タルチュムなどの民俗芸能のほか、
豊作祈願や収穫祝いなど、季節ごとの農業と関連する祭りを盛大に行う。
祭りの際、必ず披露されるのが「農楽」と呼ばれる伝統芸能で、
これは銅鑼や太鼓など、主に6種類の楽器を用いた演奏の中で踊るものだ。
主楽器の1つである「チャンゴ(杖鼓)」は日本の鼓を大きくしたような形状の打楽器で、
「チャンゴの踊り」や「アリラン」には欠かすことができない。
1.民族衣装のチマ・チョゴリを着た女性
2. 朝鮮族の伝統的な家屋は、オンドルという暖房設備とチシルという土間、プオクという厨房の3つで構成される
3. 度重なる火山爆発と陥没によって生まれたカルデラ湖
延辺朝鮮族自治州には、朝鮮両江道との国境地帯に
白頭山(白長山)という活火山がそびえている。
この山には様々な伝説が残されているが、
朝鮮族の祖とされる「タングン (檀君)」が生まれた場所とも言われる。
天から遣わされたファヌン(桓雄)は白頭山に降り立ち、人間界を治めていた。
ある時、人間にしてほしいと願い出た熊と虎にファヌンは試練を与え、
この試練を乗り越えた熊だけが〝ウンニョ(熊女)〟になったという。
ウンニョとファヌンの子どもはタングンといい、
その後王国を建設したという。
白頭山頂上には「天池」と呼ばれる直径約4㌔のカルデラ湖があり、
独特の景観をなしている。
その雄大な景色を、一度は自分の目で眺めてみたいものだ。
~広東ジャピオン2013年4月8日号