水滸巡礼~108の足跡~武松(ぶしょう) 第2回

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頼るは己の拳のみ

素手で虎を退治した漢

 

武松は、深い傷を負う運命を持つ、天傷星の生まれ変わりである。

作中では片腕を失くすが、拳法を頼りに華々しく活躍。

鋭い目と太い眉を持つ精悍な大男で、大の酒好きとして描かれる。

 

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陽谷八景の1つ、阿井胶泉は、

阿魏草という薬草が泉の周りに生えていたことからこう名付けられた

 

武松の有名なエピソードは、素手で虎を倒す場面だ。

武松が故郷の清河県に帰る途中、景陽岡の居酒屋に立ち寄った。

店の酒を次々と飲み、店主から「この辺りは虎が出るから、

それ以上飲むと歩けなくなって危険だ」と諌められた。

武松は全く聞かず、浴びるように飲み続ける。

店を出て峠に向かう途中で「虎が出る」と書かれた貼り紙を見つけた。

不安になったものの、引き返すのは決まりが悪いと思いつつ、

酔いつぶれて野宿することに。

すると、1頭の虎が武松目がけて突進してきた。

武松は目を覚まし、咄嗟に虎の突進をかわしたが、

虎は身を翻し、再び吠えながら猛烈な勢いで向かって来る。

武松は瞬時に虎の背に乗り、

左手で虎の頭を掴むと、右手で頭を殴った。

全力で何発も殴ったため、虎は頭から血を流し、

完全に倒れ込んだ。

素手で虎を退治したことで、武松はたちまち有名に。

この件がきっかけで、挑戦者の出現に翻弄される旅の果てに、

梁山泊に入山することとなる。

 

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武松が実際虎を倒した景陽岡。

園内にある「武松打虎処」の石碑は南宋時代に建てられた

 

このエピソードの舞台となった山東省聊城市。

この地では、虎退治をした景陽岡が観光地として人気を集め、

中には武松の廟や石像が建てられている。

金堤河を始め、7つの河が流れる黄河流域の街として、

春秋・戦国時代から発展を見せ、市内には無数の古跡が残る。

 

水滸伝の主要人物として、根強い人気を誇る武松。

この地を訪れ、この破天荒な行者の足跡を辿ってみたい。

 

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~広東ジャピオン2014年1月27日号

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