大海の魚に作られた村
鳥になるシャーマン
ハニ族が暮らす雲南省南部は、雨量豊富な亜熱帯地域で、
棚田で稲作を中心に営む。
ほかにも、トウモロコシや豆類、ソバ、小麦などの栽培が盛んに行われ、
有名なプーアル茶も採れる。
ハニ族には様々な支系の民族集団があり、それぞれに文化や言葉が異なる。
自称もまたそれぞれ「アイニー」、「アカ」などと多様に存在し、
言語も北部のナシ族やイ族、リス族に近い。
彼らもまた歌や踊りを好む民族であり、情歌「ヤムコ」、稲作りの歌「アホホ」のほか、
木の葉で作った笛「ピパポ」に竹製の口琴「ジャーウェイ」など、
豊かな音楽文化を持っている。
また、「その昔、巨大な魚が男と女を1人ずつ作り上げ、
女は21人の子どもを産んだ。そのうち3番目の子どもが竜王となり、
育ててくれた母親に感謝して、稲の種を送った」という内容の創世神話は、
今でも彼らの文化に根強く残る。
魚は水の象徴として重んじられているが、
女性が魚の形をした首飾りを身に付けていることが多いのは、このためだと思われる。
1. ハニ族の子ども、父の名の後の字を取って、子どもの名の最初に置く風習がある
2.結婚前は自由恋愛が認められているが、結婚後は厳格な一夫一婦制を強いられる
3.村がある山肌には、一面に棚田が作られている
また、「スニャン」と呼ばれる女シャーマンは、神界と交流し、病気を治したり、
災いを取り除いたりすることができるという。
スニャンは、毎年年末にも村の平安と村人の健康を祈願して踊るが、
身体を離れ、鳥になって空を飛び、数千㌔の彼方へ行って来たり、
深く地中へ潜ったりするのだとか。
ハニ族が住む紅河ハニ族イ族自治州は、
昆明とベトナムのハノイを結ぶ地点にあり、交通面だけでなく、
経済交流、文化交流ともに重要な役割を果たしている。
訪れる人は、ベトナムの文化をそこここに感じるに違いない。
~広東ジャピオン2013年3月11日号