民族訪ねて三千里~メンパ族(門巴族)第49回

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穀物が実る広大な原野

巧みな技術で作る木の碗

 

メンパ族の「メンパ(門巴)」とは〝モンの人〟を意味し、

彼らはかつて、チベット自治区門隅(モンユル)地区に

居住する民族であった。

農耕生活が主で、小麦や米など穀物のほか、

「オニノヤガラ」や「コウキ」といった漢方材料の栽培も盛んだ。

 

また、森林資源が豊富な山地に住む彼らは、

碗やスプーンなど、木製食器の製作が巧みな民族としても知られ、

桐やクワの木を材料にして作った碗は、形が変わりにくく丈夫で、

色褪せない美しい工芸品の1つとされている。

中でも門隅地区は〝木碗之郷〟の別名を持つ。

また、彼らの木製食器にまつわる、次のような言い伝えがある。

 

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1. 女性は「プル」と呼ばれる赤色の長衣を身に纏うのが一般的

2. 伝統工芸品の木碗。杢(もく)が入った木の瘤の部分を材料に使うことが多い

3. 彼らの代表的な食糧の1つ「鶏爪穀」。穂が鶏の爪に似ていることから、こう呼ばれる

 

「かつて、チベットに住む民たちは土の碗を使っていた。

ある日、メンパ族の木こりが山で木を切って、食事をしていた時、

不注意にも持っていた土の碗を壊してしまった。

焦った木こりは咄嗟に木で碗を作ることを閃き、

切った木を削ったり彫ったりして、碗を作った。

その後、木で作った碗が軽くて壊れにくいことが、

メンパ族の村中に広がり、やがては木の勺や箸も登場し、

彼らの生活に欠かせないものとなった」

 

木の選別や成形、研磨など、

完成まで少なくとも4つ以上の工程を経て作る同工芸品は、

ハダカムギを使って作る主食の「糌粑(ツァンパ)」用の皿や、

バターで作った「酥油茶(ジャ)」用の杯など、用途も様々。

毎年旧暦6月になると、収穫を願う新年祭「曲科節」が催され、

そこで出される料理には、必ずこの木製食器が使われる。

自然豊かなこの地で、心地良い木の香りが漂う食器を手に取り、

古より続く伝統の風合いをしっかりと味わいたい。

 

~広東ジャピオン2013年11月25日号

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