水滸巡礼~108の足跡~鄧飛(とうひ) 第39回

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328水滸巡礼 人物

 

縦横無尽に駆ける獅子

攻守で活躍する戦上手

 

鄧飛はかつて、薊州(けいしゅう、現天津市)の飲馬川で、

山塞を構えていた山賊頭領。

「鉄鐮(てつれん)」と呼ばれる鎖鎌の使い手で、

第1頭領の裴宣(はいせん)とともに

部下を仕切り、幅を利かせていた。

あだ名の「火眼狻猊(かがんさんげい)」は、

人肉を食べすぎてその眼が赤く染まり、

その獅子のような外見が、中国の伝説上の動物、

「狻猊(さんげい)」を彷彿とさせることにちなむ。

 

328水滸巡礼 風景縦

水鏡荘。

「水鏡先生」と呼ばれた後漢末期の人物鑑定家、

司馬徽(しばき)を祀っている

 

ある時鄧飛は、いつものように、飲馬川を通る旅人を襲った。

ところがその旅人は梁山泊の人物で、

1日で500里(約200㌔)を走る

「神行法」と呼ばれる道術をもつ男、戴宗(たいそう)と、

かつての山賊仲間、楊林(ようりん)。

彼らをひと目見て並の人間ではないと、

鄧飛は宴を開いて彼らをもてなし、すっかり意気投合、

梁山泊への関心を強めて、入山した。

 

入山後、鄧飛は祝家荘(しゅくかそう)の戦いで初陣を飾る。

先鋒として出陣し、果敢に敵将に挑むが、

仲間が攻撃の最中に苦境に陥ると、

すぐに救援に回るなど、機転を利かせた戦いを見せた。

その後は捕虜となるものの、敵の城内に潜り込ませた味方と連携して、

内側から祝家荘を攻撃し、勝利に貢献。

獅子奮迅の怒涛の攻めを見せる一方、

仲間の救出や補佐に回ることも多く、

広い視野をもつ器用な小隊長として、活躍していった。

 

328水滸巡礼 風景横

襄陽古城は2800年以上の歴史を誇る。

古来、「華夏第一城池(中国随一の城)」と呼ばれてきた

 

鄧飛が生まれた湖北省襄陽市。

市を長江の最大支流、漢江(かんこう)が流れ、

唐の詩人、孟浩然(もうこうねん)も

詩作『襄陽曲』で漢江の美しさを詠っている。

そしてこの地にはまた、『水滸伝』でその武功を称えられた、

鄧飛という1人の豪傑がいた。

 

328水滸巡礼 地図

 

~広東ジャピオン2014年11月3日号

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