人食い博士・レクター
サイコ・サスペンスの巨匠、
トマス・ハリス原作の『レッド・ドラゴン』をもとにしたドラマ。
シリーズ中初映像化された『羊たちの沈黙』が米アカデミー賞作品賞に輝き、
人食い精神科医・レクター博士の名を知らしめるとともに、世界を震撼させた。
同作は『羊たち~』の前日譚で、
レクター博士が逮捕される以前を描いたもの。
FBIアカデミーで教官を務めるウィル・グレアムは、
自閉症でありながら、殺人事件の犯人に共感し、
犯行動機や感情を再現する能力を持っていた。
そうして事件を解決していく傍ら、
ウィルの精神状態は不安定の一途を辿り、
精神科医であるハンニバル・レクターに出会う。
様々な殺人事件を模倣する「コピー・キャット」のレクターは、
治療と称してウィルの心に揺さぶりをかける。
美しいフレンチの狂宴
主役のウィルには、
イギリスの名門パブリックスクールと
オックスフォード卒のインテリ役者、ヒュー・ダンシー。
そして〝北欧の至宝〟の呼び声も高い、
デンマーク人ベテラン俳優、マッツ・ミケルセンがレクター博士を怪演。
彼は2006年の『007カジノロワイヤル』で、
気品を漂わせたままジェームス・ボンドを拷問するル・シッフルを演じ、知名度を高めた。
同作のファンによれば、
精神科医でありながら人を殺したその手でゴージャスなフレンチ・フルコースを紡ぎ出す、
気高くも美しい博士に圧倒される、とのこと。
なお、博士のレシピはれっきとしたフード・ディレクターが作っており、
アメリカではドラマに登場するメニューの試食イベントが大人気なのだとか…。
古典的シットコム
日本でも大人気となった『フルハウス』や『フレンズ』のような、
スタジオ型〝シットコム(シチュエーション・コメディ)〟。
尺が短く1話完結型で、登場人物や場面設定が固定されており、
観客(?)の笑い声が入っているのが特徴的だ。
現在、すでに第3シーズンを終えようとしているところだ。
舞台はNYの下町、ブルックリン。
昼間はベビー・シッター、夜はダイナーでウェイトレスのアルバイトをしている
〝ボンビー(貧乏)・ガール〟マックス。
ある日そのダイナーに、父親が事業不正で逮捕され、
すべてを失った元お嬢様・キャロラインが転がり込んでくる。
2人はひょんなことから一緒に暮らすことになり、
マックスが作るカップケーキでビジネスを立ち上げようと一念発起、
夢を叶えるため奮闘を開始する。
女子のサクセス・ストーリー
ほぼ全キャストが下ネタを連発、
セリフ回しは速くスラングだらけ、
ブラックなジョークも満載の同作、
本国アメリカでは〝子どもに見せたくないドラマ〟に挙げられるという。
しかし、低所得者層のマックスと、
富裕層のキャロラインという生まれ育った環境の異なる2人が、
互いに否定し合うことなく、理解を深め、
友情を結んでいく姿には心を打たれるものがある。
また、NY発のイマドキオシャレスイーツである
「カップケーキ」が夢のアイコンになっているのもポイント。
そのほか、ダイナーのレジ係、
ファンキーな黒人のアール、
下ネタしか発しないが憎めない、キッチンスタッフのオレグ、
外見にコンプレックスを持つがキュートな店長ハンと、
2人を取り巻く脇役陣も魅力たっぷりに描かれている。
~広東ジャピオン2014年6月23日号