虎と勇敢に闘う民族
願いを天に伝える芦笙
ラフ族は雲南省南西部の山岳地帯に住み、
衣服の色から黒、白、赤、黄に分類される。
ラフ族は古くから、タイ族や漢族と親交を持ち、
タイ族には「狩人」を意味する「ムソー」という名で呼ばれている。
これはその昔、山から下りてタイ族の村を襲う虎に、
ラフ族が弓矢や刀で立ち向かったことから、その勇敢さを讃えたものと言われる。
彼らに古くから伝わる神話によると、人類はひょうたんから生まれたとされる。
そのひょうたんから作った楽器「芦笙(ノム)」の音は天に響き、
人々の祈りや願いを伝えるものと考えられているという。
各村には12人の芦笙吹き「芦笙匠」がおり、彼らは芦笙を自由に操り、
村人の願いを伝えてくれるため、尊敬される存在となっている。
元日の朝、人々は一番鶏が鳴く時刻に湧水を汲む「迎新水」という儀式を行う。
日本で言う「若水取り」である。村で最初にこの水を飲んだ人は、
その年に幸福が訪れるという言い伝えがあり、こぞって汲みに行くという。
1. 芦笙「ノム」は、ひょうたんに長さの異なる数本の芦を差し込んだ楽器。筒の中に銅製のリードが付いており、振動して重音が出る
2. 黒ラフ族の女性。ラフ族は質素な婚礼を好むが、離婚の際は大きな宴席を設け、村の人をもてなす
3. 山のあちこちにラフ族の集落を見ることができる
ラフ族の新年行事「コタ(拡塔節)」の際には、
芦笙を吹きながら長老の家へ行き、祭りを始める儀式を行う。
まず、その家が良い種に恵まれ豊作になるよう「祝福の踊り」を吹き、
村の若い男女が踊る。
その後畑へ出て、肥えた土地を探し、草刈りをして畑を耕し、
種まきをする「ガジ」の儀式を終えたら、
長老宅の庭で大地を踏みしめる「歓喜の踊り」を吹き踊る。
ラフ族の村落は通常高地にあり、
赤ラフ族だけがアニミズムの寺院を建立するという。
竹を編んだ高床式の家が並ぶ山の斜面からは、
ミャンマーを望むこともできる。
~広東ジャピオン2013年7月15日号