人、自然の神々が宿る
猿と魔女の子どもたち
チベット族はその多数がチベット仏教を信仰し、
チベット自治区を中心に、四川省、雲南省、
青海省北部などに分布する。
同じチベット族でも言語が異なり、
自治区内の言語を「衛蔵」、四川省、雲南省は「安多」、
青海省北部のものは「康方」と、それぞれの呼び名が付く。
彼らの生計は農耕と牧畜によるところが大きい。
青稞(ハダカムギ)で作った料理「ツァンパ」や、
羊の乳で作ったチーズ「奶渣」などを主食とし、
食糧、または衣服の材料にする作物や家畜を自らの手で育てる、
自給自足の民族として知られる。
原始時代から祖先の生存が確認されており、
実に4000年以上の歴史を持つチベット民族。
そんな彼らには、数多くの伝説がある。
次の「神猿と魔女」もその1つだ。
1. 女性は絹で仕上げた上着を身に纏い、
寒い季節はその上にヤクの毛で作ったチョッキ「プル」を羽織る
2. 寺院にて、「マニ車」を回す。1度回すと、経典を1通り読んだことになる
3. 青蔵高原の中心をなすチベット高原は、海抜4000m以上の高地にある
「大昔、観音菩薩の弟子であった神猿は、
チベット高原で修行をしていた時、1人の魔女に出会った。
魔女が自分と結婚しないと世に必ず不幸をもたらす、と脅したため、
神猿は仕方なく結婚することに。
しばらくして、子どもたちが生まれたが、
食べ物も衣服もないという悲惨な生活を送っていた。
そんな猿の子どもたちを憐れみ、
観音菩薩は彼らに6種の穀物(ソバ、米、大麦、小麦、ケシ、ゴマ、豆)を与え、
農作物の栽培を教えた。
やがて猿たちは進化し、尻尾が消え、言葉を話すようになった。
そして、徐々に人間の形を成し、チベット族の祖先になった」
毎年年末になると、彼らの多くが「五体投地」をしながら、この地を訪れる。
晴れ渡る空に高く聳える昆崙山脈、果てしなく広がる青蔵高原。
この荘厳且つ神々しい大自然に身を置き、心を鎮めたい。
~広東ジャピオン2013年12月23日号