水滸巡礼~108の足跡~張順(ちょうじゅん) 第15回

304 水滸巡礼 人物

 

 

水の中では常に敵なし

神にもなった水軍の要

 

張順は、江西省九江市出身の魚問屋。

もとは長江で兄の張横(ちょうおう)と、闇の渡し船をし、

旅人の金銭を巻き上げていたが、

足を洗って魚屋となった。

肌が透き通るように白く、約20㌔を難なく泳ぎ、

7日間の潜水も軽くやってのけることから、

波をくぐる白い「鯈(ハヤ)、(コイ科の淡水魚)」に例えて、

「浪裏白条(鯈)」と呼ばれた。

 

304 風景 横

標高1474mを誇る廬山は、ユネスコ世界遺産に指定されている。

五老峰や三畳泉など、10以上の見所がある

 

ある日、張順が漁場の生簀に向かうと、

乱暴者で有名な李逵(りき)という男が、漁師を殴って暴れていた。

張順はこれを止めようとして、李逵に挑むが、

地元で「鉄牛」と呼ばれ恐れられる彼の前に、手も足も出なかった。

そこで、張順は李逵を水中に引きずり込み、散々懲らしめた。

すると李逵は降参し、九江を訪れている宋江をもてなすために、

いい魚を出してもらおうとして暴れた、と話した。

張順は、かの有名な宋江の名を聞いて、彼と和解。

そして、この時宋江とも縁ができて、

李逵と一緒に入山するのだった。

 

その後は、水軍頭領として活躍。

梁山泊の宿敵、高俅(こうきゅう)が攻めてきた時には、

主力水軍を指揮し、高俅を生け捕りにするなど、

水戦では圧倒的な存在感を見せる。

死後は、水軍の守り神、「水神金華将軍」として祀られた。

 

304 風景 縦

江西省北部に位置する鄱陽湖。

中国最大の淡水湖で面積は3283km²。かつては漁場として栄えた

 

張順が生まれ育った江西省九江市。

北に長江を臨み、南に廬山が聳える。

湖北、安徽、江西の3省が交わり、

交通の要所として、古来、兵家必争の地であった。

水滸伝には水に関わる豪傑が多く登場するが、

張順もそのひとり。

白いハヤと呼ばれた英傑が泳いだ、

この母なる地、母なる水辺を訪れてみたい。

 

304水滸巡礼地図

 

~広東ジャピオン2014年5月12日号

 

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新号の電子版はこちらから

PAGE TOP