昔から続く自然との共存
孔雀のように羽ばたく
自然豊かな河川流域に暮らすタイ族は、
新石器時代からその存在が確認されている。
昔から穀物や野菜、魚、昆虫を主な食糧とし、
竹を骨組みにした、「竹楼」と呼ばれる高床式住居に暮らす。
農園ではコメやバナナ、ゴムの木などの農作物を栽培し、
自分たちの食糧や生活道具に充てるなど、
自給自足の生活を送る民族として有名だ。
また、彼らは独自の民俗文化にも
自然の要素を取り込んでいる様子が窺える。
タイ族の伝統舞踊には「魚舞」や「大鵬鳥舞」など、
動物の名前が付けられたものが多い。
中でも代表的な踊りが「孔雀舞」。
象脚鼓と呼ばれる太鼓の伴奏に合わせて、
孔雀のように手足を広げ舞うこの舞踊には、
次の伝説がある。
1. 民族衣装を纏った女性。
黒地に赤や緑などの模様が刺繍された、色鮮やかなスカートを腰に巻く
2. 「孔雀舞」で使用される「象脚鼓」。
太鼓の表面が象の足に似ていることから名付けられた
3. タイ族で最も重要な行事「溌水節」は、
1年の無病息災を願い、道行く人に水をかける
「その昔、タイ族の狩人たちが狩猟に出ていた時のこと。
彼らが湖に着くと、果実が水面に落ちる音と、
魚がそれを食べる音に合わせて、
1羽の孔雀が翼を広げ、優雅に踊っていた。
狩人たちは孔雀の舞いに魅了され、
帰宅後、孔雀が踊っていた動作や音を模倣し、
1つの舞踊を完成させた。
孔雀の歩く、水浴びをする、羽ばたくといった
あらゆる動作を表現したこの踊りは、
いつしかタイ族の伝統芸能を代表するようになった」
今日では、孔雀はタイ族にとって幸福、善良、美麗の象徴とされ、
タイ族の居住地である雲南省徳宏は〝孔雀の郷〟と呼ばれる。
毎年4月中旬に行われる「溌水節(水かけ祭り)」では、
孔雀舞を始めとする民族舞踊が披露される。
怒江に沿った雄大な自然に身を置き、水が飛び、太鼓が響く中、
本物の孔雀のように優雅に舞う彼らの姿を、目に焼き付けたい。
~広東ジャピオン2014年1月6日号