三尖両刃の副将
彭玘（ほうき）

ゆかりの地　安徽省阜陽市
あだ名　天目将
職業　騎兵軍将校
宿星　地英星

安徽省阜陽市出身。同地で団練使（軍の調練指揮官）として働くなか、宋の呼延灼（こえんしゃく）将軍の梁山泊討伐軍に加わる。梁山泊との戦で捕捉されたが、宋江に諭され、入山。最期は、方臘の戦いで、戦友・韓滔（かんとう）の敵討ちに失敗し、戦死。

呼延灼が認めた実力
天目将と百勝将が駆ける

彭玘はかつて、穎州（現安徽省阜陽市）で軍の調練指揮官を務めていた。武芸に優れ、「三尖両刃（さんせんりょうじん）」なる、三叉の刀を得物とした。あだ名は「天目将（てんもくしょう）」。それは、彼の武力が死凶疫病を司る凶星、天目（かに座）を連想させるためと言われた。

文峰塔。7層建てのレンガ造りの塔で、高さは31m。壁には龍や鳳凰、鯉などの絵が彫られている

ある年の暮れ、彭玘は宋の猛将・呼延灼から、彼が率いる梁山泊討伐軍への参軍要請を受ける。早速任地に赴くと、呼延灼の副将を務めるよう言い渡され、同じく呼び出されていた、百勝将・韓滔とともに戦場へ出た。

そして戦の日、１対１で対戦することになり、先鋒の韓滔は、梁山泊の秦明（しんめい）将軍に苦戦し、今度は呼延灼が林冲（りんちゅう）と対戦。２人は互角に打ち合い、勝負がつかなかった。続いて、彭玘に順番が回ってくる。彼の前に現れたのは、弓の達人・花栄（かえい）。三尖両刃を振って相手に苦戦を強いたが、梁山泊はさらに扈三娘（こさんじょう）を投入、彭玘は彼女の鉤縄（かぎなわ）に捕まり、生け捕られてしまった。

すっかり死を覚悟した彭玘だったが、梁山泊の志に触れ、宋江の仁義に感心し、恭順を決意。そして、後に捕えられた韓滔を説得し、ともに入山した。その後も２人で戦場を駆け、遼国との戦いで戦功を立てる。最期は方臘の戦いで戦死したが、彼の遺体のそばには、輝く三尖両刃があったそうだ。

穎州西湖は、古代に存在した36の西湖のうちの1つとされる。穎河、清河など4つの川が合流してできた

彭玘の故郷、安徽省阜陽市。華北平原南端に位置するこの地は、古くは穎州と呼ばれ、交通の要地であった。今日でも、南北を結ぶ交通拠点として、南は武漢市、北は徐州市、東は合肥市と３都市を結び、まるで彭玘の三尖両刃のように鉄道が走る。

 

～広東ジャピオン2015年1月12日号