中国人作家が描く 絵本の世界(下)

468-P3

 

世界絵本ランクにイン

 

幼い頃から美術が大好きだったという朱成梁は、

上海出身の作家です。

美術関連の出版社に勤めながら、

多くの絵本の挿絵を手掛けています。

 

彼は1980年に絵本作りを始め、

初期の作品が高評価を受け、

様々な賞を受賞しました。

しかしそんな彼の知名度を一気に挙げたのは、

やはり、2008年に出版された『団圓』。

父娘の愛情を中国の伝統的な年画のようなタッチで描いたこの作品は、

アメリカの雑誌『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』の

「11年度・世界子ども絵本ランキング」に選ばれたそうです。

 

画を描く=映画作り

 

そのほか、作者本人が気に入っているという作品に、『火焔』があります。

これは、日本でもおなじみ『シートン動物記』シリーズの

『スプリングフィールドのキツネ』をベースに、

母親の愛をテーマに作られました。

 

また、日本の出版社が企画した、

9人の絵本作家たちによる

『地球的同一天』という作品もオススメです。

アメリカ、ロシア、ケニアなど

世界8カ国のお正月の過ごし方を、

各国出身の著名な作家が描くのですが、

ここで中国から参加したのが朱成梁。

真っ赤な背景に切り絵風の絵で、

爆竹を鳴らしたり、サンザシの飴を食べたりして

新年を過ごす子どもたちが活き活きと映し出されています。

この本の面白いのが、

地球上の同時刻に起こる出来事を描いているところ。

例えばイギリスで深夜を周る頃、

中国では朝を迎えるなど、

国や習慣が違っても、

私たちが丸い地球上で一緒に生活を送っているということを

絵で見せてくれるのです。

 

「絵を描くことは、映画を撮ることに似ている」と語る朱成梁。

彼の作品を読めば、

ステキな映画を観た後のような余韻に浸れることでしょう。

 

468-P3

 

~広東ジャピオン2014年7月21日号

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新号の電子版はこちらから

PAGE TOP