AK―47
旧ソ連で開発された自動小銃「AK―47」。
頑丈で威力大のアサルトライフルと名を同じくするこのバンドは、
中国において、疾走するリズムに電子楽器を駆使した
硬質なサウンドを合わせた、インダストリアルメタルの先駆け的存在だ。
ベース兼ボーカルの老猫を中心に、
ギターを小猪、ベースを豆腐、ドラムを沙発が担当し、
メンバー全員が軍服を着用し、音の弾丸を打ち出しまくる。
高速のドラムビートと脳ミソに突き刺さる電子音、
そして地の底から響くようなダミ声デスヴォイス!
おまけにエモーショナルなコーラスも入った、
お腹いっぱいな楽曲をそろえる。
曲の初めから、まるでクライマックスのように
ダダダダダ…と高速ビートが響く『再踏征途』や、
ゴシックなコーラスから始まり、
ドラマチックな展開を見せる『墜毀』など、
脳天&心臓を打ち抜かれる者続出!!
EGO FALL
2004年、グランジバンド「SUBCONSCIOUS」を前身に、
全員が内モンゴル自治区出身のメンバーで構成された
〝モンゴリアン〟デスメタルバンド「EGO FALL」が誕生。
転調を繰り返す高速ビート&エモーショナルなメロディ、
デスヴォイスという現代的デスメタルに、
民族の伝統的な歌唱法「ホーミー」と
楽器「馬頭琴」の優雅な音色を融合させ、
新しいサウンドを作り続けている。
彼らの曲を聴けば、のどを詰め、低高音を同時に響かせるホーミーが、
意外なほどデスメタルとマッチすることに驚くはずだ。
お経のように響くホーミーを1分近く聴かせてから、
ドラマチックなメロディが始まる『蒙古精神』、
そして中盤のギターリフに合わせたホーミーが、
ファンに言わせると「たまらなく超クール」な『長生天鉄騎』など、
聴かないと損をすること間違いな死!
戦斧
「戦斧」は1992年、北京にて結成。
当初はデスメタル色の濃いバンドとして活動していたが、
次第に、哀愁漂うバラードナンバーを発表するなど、
音楽性の幅を広げてきた。
少し高めの特徴的な声を持つボーカリスト・牛子は、
幼い頃クラリネットを学んでいた経験もあってか、
音楽センスの良さと表現力に定評あり。
メランコリックなバラード『下沈』では、
哀愁漂う声で「下沈…(落ちていく…)」とつぶやくように繰り返し、
聴く者を、「どこか頽廃的だけど何か気持ち良い…」という気分にさせてくれる。
そのほか、もちろんハードな楽曲も多数。
「別惹我(オレを怒らせんなよ)」のフレーズが印象的な『対話』のように、
やるせない怒りや悲しみなど、
負の感情を情感たっぷりに表現する。
扭曲机器
ラップやパンク、ジャズを取り込んだ
ミクスチャーロックの大御所バンド「Rage Against the Machine」の
大ファンの4人で結成された「扭曲機器」。
重低音を響かせながらも、
キャッチーなメロディにラップやパンクの軽快さも加えた、ニューメタルバンドだ。
今回紹介したバンドの中では、
比較的ポップで明るい印象の楽曲が多く、
普段メタルを聴かない人でも、すんなり入っていけることだろう。
オススメは「POGOPOGO」のかけ声に合わせて
ぴょんぴょん飛び跳ねたくなる『緊随節奏POGOPOGO』や、
低音ラップが心地良い『我們来自地下』など。
アップテンポでアゲアゲな曲が多いので、
ライブに参加すれば楽しめること間違いなしのバンドだ!
~広東ジャピオン2014年8月11日号