天然100%の植物せっけん
ムクロジは、ライチやランブータン、リュウガンなど
南国フルーツの仲間ではあるものの、
その強い苦みから、めったに食されることはない。
日本では全国各地の山林に野生し、
日本人は羽子板に使う羽根の重りとして、ムクロジの種を用いている。
18世紀の日本の書物に、「果実の外皮を俗にシャボンと呼び、
脂汚れの衣を洗うに用ゆ」という記述がある。
これは、ムクロジの果皮に含まれる天然の界面活性成分〝サポニン〟が、
水に溶けると泡立つ性質を持っているためである。
また、中国の本草書にも、洗髪・洗顔に用いたという記録が残されている。
最近は油脂から作るせっけんや、
石油から作る合成洗剤が主流となっているが、
環境汚染や安全性の観点から、〝ソープナッツ〟などと呼ばれ、
好んで使用する人も少しずつだが増えてきているとか。
とくに敏感肌の人は、身体に触れるものを洗う時にオススメだ。
生薬としては、秋に果皮を集めて天日干しし、
乾燥させたものを「延命皮(えんめいひ)」という。
この延命皮は、抗炎症、抗菌作用を持つほか、
補水効果や美白効果まで期待できるとか。
天然成分100%の植物性せっけんで、
お肌にも環境にもやさしく暮らそう。
~広東ジャピオン2013年2月25日号