女剣士に一目惚れ
夫婦で戦場を駆け巡る
王英は、清風山なる山塞で暮らす山賊の一員。
槍の腕は立つが、相当な女好きで知られ、
身長は5尺(約160㌢)にも満たず、丸い顔に鋭い眼つきという風貌に加え、
ことさら、足が短いことから、「矮脚虎(わいきゃくこ)」と呼ばれていた。
京杭大運河は北京から杭州までを結ぶ。
総延長2500km。
隋王朝の文帝と煬帝が整備し、610年に完成
ある日、流刑に処された宋江を助け、仲間とともに梁山泊に加わった王英。
入山後、最初の戦となった、祝家荘の戦いに参戦したが、
敵軍から、勇猛さと美貌で名を馳せた女剣士、扈三娘(こさんじょう)が現れると、
相手が女と知った王英は、我先にと一騎打ちを挑んだ。
しかし、あろうことか、王英は勝負の最中に欲情してしまい、
槍さばきが乱れ落馬。
彼は捕虜となってしまったが、後に梁山泊が戦に勝利し、解放された。
そして、扈三娘が投降し、仲間に加わることに。
宋江は、王英のことを思い、彼と扈三娘を結ばせた。
淮安市盱眙県に位置する鉄山寺。
後漢時代末期、漢族最初の僧侶である厳仏調が建立した
その後は、夫婦揃って戦場に立った2人。
王英も彼女一筋で、かつての女へのだらしなさは収まったかに思われた。
しかし、田虎(でんこ)の戦いで、
作中屈指の美女とされる将軍、瓊英(けいえい)と戦い、
以前の悪癖が再燃して敗北。
最後まで、美女を前にすると、闘志が削がれてしまう王英であった。
王英が育った江蘇省淮安市。
かつては両淮と呼ばれた地域の一部で、
漢代の名軍人、韓信(かんしん)や『西遊記』の著者とされる、
呉承恩(ごしょうおん)の出身地として名高い。
また、淡水魚料理などに代表される、淮揚菜の本場としても知られる。
京杭大運河が流れる、風光明媚な同地に足を踏み入れれば、
梁山泊の義に、女性への情に、この地を奔走していた王英の姿が浮かんでくる。
~広東ジャピオン2014年4月14日号