水滸巡礼~108の足跡~白勝(はくしょう) 第37回

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326水滸巡礼 人物

 

追い詰められた白鼠

身を挺し盧俊義を救出

 

白勝はかつて、黄泥岡(現山東省菏沢市)近くに住む無頼漢だった。

少ない稼ぎを博打に費やしては大負けする日々を繰り返し、

地元では有名な街のゴロツキであった。

あだ名の「白日鼠」は、鼠のように歯が出ていたことに由来する。

 

326水滸巡礼 風景縦

2011年、ユネスコ世界文化遺産に認定された西湖。

「花港観魚」や「平湖秋月」など、西湖十景が有名

 

白勝がある日、いつものように賭場に入り浸っていると、

後の梁山泊頭領、晁蓋と呉用がやって来た。

彼らは、官軍の楊志(ようし)率いる輸送団が、

賄賂「生辰綱」を運ぶ際、黄泥岡を通ると聞き、

それを奪うべく、地理に詳しい白勝を利用しようとした。

賭けで負けたところを呉用に助けてもらった白勝は

酒屋に扮し、輸送団の前を通り、酒を売った。

その酒は、痺れ薬の入ったもの。

楊志たちがそれと気付かず酒を飲み、倒れたところで、

呉用は生辰綱を奪った。

この一件で白勝は評価され、入山したのだった。

 

その後も、素早い身のこなしや得意の変装などで見せ場を作ってゆく。

遼国との戦争で、梁山泊第3頭領、盧俊義(ろしゅんぎ)が八方を敵に塞がれ、窮地に陥った。

この時も隊に加わっていた白勝は、事態を宋江に報告するため、

自身を荷物のように敷物に包むと、山から転がり落ちた。

そして、麓にいた梁山泊軍のもとに辿り着き、盧俊義救出に一役買った。

敵将を討ち果たすなどの武功は挙げなかったものの、

自身の特性を活かし、軍に貢献した男であった。

 

326水滸巡礼 風景横

河坊街。清末期当時の杭州の面影を残す。

「孔鳳春香粉店」や「万隆火腿店」など、杭州を代表する老舗店が並ぶ

 

白勝が倒れた地、杭州。

13世紀には世界最大の都市と言われ、

「上有天堂、下有蘇杭

(天に天国あり、地に蘇州、杭州あり)」と称えられるほどだった。

世界遺産に認定された西湖を覗くと、

白い歯を出し、笑う白勝の笑顔が水面に映りそうだ。

 

326水滸巡礼地図

 

~広東ジャピオン2014年10月20日号

 

 

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