暴れ狂う山の大蛇
解珍(かいちん)
ゆかりの地 浙江省杭州市建徳市
あだ名 両頭蛇
職業 歩兵軍将校
宿星 天暴星
山東省煙台市蓬莱市出身。
弟の解宝(かいほう)とともに地元では名の知れた猟師だった。
後に無実の罪で捕えられ、牢番たちの協力を得て脱獄し梁山泊に逃げ込む。
加入してからは、歩兵軍主力として多くの戦に参加。
最期は方臘の戦いで討死にした。
虎退治から始まった運命
暴れ出すと止まらない
解珍は登州(現山東省煙台市蓬莱市)出身で、
弟の解宝と猟師生活を営み生計を立てていた。
肩幅が広く腰は細く、日々山に登るため、
狩りで鍛えられた逞しい身体つきをし、動物の毛皮で作った衣服を身に纏っていた。
「点鋼叉(てんこうさ)」と呼ばれる長槍の武器を巧みに扱い、
暴れ出すと誰も手をつけられないほど激しい性格を、
両頭の蛇に喩え「両頭蛇(りょうとうだ)」と呼ばれた。
市中心部から南方に24kmのところにある大慈岩。
主峰に立つ天然石仏が圧巻
ある日登州の役所から猟師たちに、虎退治の指令が出る。
同州一帯は虎が度々出て、住民の生活を脅かしていた。
そこで解兄弟らも駆り出され、早速山に入る。
兄弟は3日がかりで狩りを行い、解珍の放った矢が見事虎を射止めたが、
虎は同州の庄屋である毛太公の屋敷に逃げ込んだ。
解珍は虎を追って屋敷に入ったが、
同じく虎を狙っていた毛太公らに、強盗呼ばわりされ、捕えられてしまった。
その後、彼らの従兄弟である顧大嫂(こだいそう)らが救出に手を貸し、
牢から出た解珍はここぞとばかりに暴れ回る。
これが一大騒動となり、解珍ら一行は逃亡の果て、
梁山泊に行き着き、豪傑たちの一員となった。
入山後は歩兵軍でその身軽さを活かし、猟師や敵将に扮しては敵陣に入り、
敵を撹乱、自軍を勝利に導く。
最期は方臘の戦いで、烏龍嶺という山岳地帯への進撃の最中、
崖をよじ登るところを攻撃され、転落死した。
烏龍山。海抜916.9m。
建徳市南部に位置する。
作中で触れた方臘の戦いは、この山が戦地となった
解珍が死を迎えた烏龍嶺があったとされる浙江省杭州市建徳市。
銭塘江の上流地域に位置するこの地は、東西に山脈が走り、その中に烏龍山がある。
この山で消えた解珍も、今は山の守り神となり、この地を見守っているだろう。
~広東ジャピオン2015年5月11日号