水滸巡礼~108の足跡~楊志(ようし) 第18回

suiko-title

307すいこ人物

 

青痣をもつ悲しき勇将

転落人生の行く末は

 

楊志は、もと東京開封府(現河南省開封市)近衛軍隊長。

武芸百般に通じ、腕は梁山泊随一の武人、林冲に勝るとも劣らない。

顔に青い痣があったことから、「青面獣」と呼ばれた。

 

307水滸 建物 縦

東晋時代(317~420年)に建立された仏教寺院、金山寺。

中国古代の民間小説『白蛇伝』にも登場した

 

ある日楊志は、政府から託された、

花石綱なる財宝運搬の任に失敗し、罷免された。

復職のため、全財産を使って役人に取り成しを頼んだが、

採用されず無一文に陥る。

仕方なく、家宝の刀を売ることにした彼は、

街で刀の演武をし、その威力を見せた。

しかしそこに、ならず者の牛二(ぎゅうじ)が刀を奪おうと、殴りかかって来た。

楊志は牛二を斬り捨てると、

今度は殺人罪に問われ、懲役を科される。

そんな不運続きの楊志にも、好機がやってくる。

彼の実力を知る政府役人が、懲役を取り消し、民兵長の位を与えたのだ。

そして、賄賂である「生辰綱(せいしんこう)」輸送の護衛を命じる。

楊志は万全の態勢で警護に臨んだが、

またも、何者かに生辰綱を奪われてしまった。

犯人は梁山泊の集団で、賄賂を奪うため、

楊志に痺れ薬を飲ませたのだった。

度重なる失態に、死を覚悟した楊志。

あてどなく彷徨ううち、後に梁山泊の一員となる魯智深と出会う。

2人は二龍山に籠り、朝廷に反旗を翻す賊徒と化したが、後に梁山泊と合流。

その後、楊志は騎馬軍主力として活躍してゆく。

 

307水滸 風景 横

焦山。鎮江市北東部に位置する。

金山、北固山と併せて、〝京口三山〟と呼ばれ、

焦山のみ周りが水に囲まれている

 

楊志が没した地、江蘇省鎮江市丹陽。

長江デルタに位置する同市には、90以上の河川が流れ、

古来、交通の要として発展を見せた。

天暗星なる宿星の通り、非凡な身でありながら不運に見舞われ、

どこか陰影を帯びていた楊志。

かつては「雲陽」とも呼ばれたこの街で、

最後に〝陽光〟を見たのだろうか。

 

307水滸 地図

 

~広東ジャピオン2014年6月2日号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新号の電子版はこちらから

PAGE TOP