水滸巡礼~108の足跡~段景住(だんけいじゅう) 第19回

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308水滸 人物

 

確かな眼識をもつ馬泥棒

晁蓋の死を招いた名馬

 

段景住は河北省保定市涿州市出身の馬泥棒。

武術の心得はなかったが、

長い間、馬を盗んでは売って生活しており、

良馬を選別する能力に長けた。

見かけは大柄で、赤い髪に黄色い髭をたくわえていたため、「金毛犬」と呼ばれる。

 

308水滸 建物 縦

涿州影視城は保定市北部に位置する映画村。

『三国演義』や『武則天』など、多くのドラマ作品がここで撮影された

 

段景住が金国(現中国東北部)で暮らしていたある日、

梁山泊の噂を耳にする。宋江の存在を知り、

このまま泥棒をしていても仕方ない、と入山を決意。

そして、「照夜玉獅子」と呼ばれる金国王子の愛馬を、

宋江への手土産にしようと盗んだ。

白毛の美しい馬で、1日に千里走ると言われた。

彼は馬を連れて梁山泊に向かったが、

途中、山東省の曾頭市なる地で、山賊に馬を奪われてしまう。

曾頭市を取り仕切る山賊に太刀打ちできず、

馬を諦め、そのまま梁山泊に向かう道中、宋江らに遭遇。

段景住は事情を宋江に話し、義侠心に篤い宋江の計らいで、

馬奪還のため、山賊と対戦する。

しかし、この戦いで梁山泊頭領・晁蓋(ちょうがい)が、

敵の矢に当たり戦死してしまう。

かえって梁山泊に大きな損失を与えてしまったが、

段景住は馬の識別眼が評価され、宋江に重用される。

彼はその後、軍馬調達や機密伝令の任に当たるなど、

戦の裏側で梁山泊を支えた。

308水滸 建物 横

中国古典『三国志演義』で、

劉備、関羽、張飛の3人が「桃園の誓い」を交わしたという三義宮

 

段景住が生まれた保定市涿州市。

『三国志演義』の劉備、関羽、張飛が

義兄弟の契りを交わした場所として知られる。

二千年以上の歴史をもち、

唐の詩人、賈島(かとう)や宋の初代皇帝・趙匡胤(ちょうきょういん)など、

歴代の英傑を多数輩出した。

彼らとともに、この地を駆けた駿馬を見て、

段景住の眼力は養われたのだろうか。

 

308水滸 地図

 

 

~広東ジャピオン2014年6月9日号

 

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