水滸巡礼~108の足跡~焦挺(しょうてい) 第24回

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水滸巡礼 人物

 

情け容赦なき必殺拳

黒旋風をも飛ばす体術

 

焦挺はもと、時の政府・中山府(現河北省保定市定州市)で

「相撲」を生業としていた男で、持ち前の怪力と、

「三十六路擒龍手」なる一子相伝の技で、

その名を知らしめていた。

物語では、「情け容赦がない」を表す「没面目」のあだ名通り、

並みいる力士を、完膚なきまでに打ち負かす豪傑として描かれている。

 

水滸巡礼 縦 建物

定州市中心部に位置する定州塔(開元寺塔)。

高さ84mを誇り、中国で現存する最高層の煉瓦木造古塔とされる

 

ある日、仕官先を探す旅の道中で、焦挺は色黒の男に出会う。

2人はいきなり睨み合いになり、男の方から襲いかかってきたが、

焦挺はあっさりと男を投げ飛ばした。

焦挺は、再び飛びかかってくる男の脇腹を蹴り、男を動けなくさせた。

男は梁山泊一の暴れん坊、黒旋風の李逵(りき)。

彼は同志の将軍・関勝(かんしょう)を助けるために、

凌州(現山東省陵県)に向かうところだったのだ。

李逵は素手で自分を打ち負かした焦挺の強さに感心し、仲間に誘う。

実は焦挺も前々から梁山泊に入りたいと思っていたが、

つてがなく諦めていたのだった。

 

これを機に、焦挺は仲間に加わり、

李逵とともに凌州で敵軍主将を討ち取り、関勝を救い出した。

そして、この功績が宋江に認められ、

梁山泊歩兵軍として華々しい活躍を見せてゆく。

武器を使わず、体術のみで次々と敵を蹴散らす焦挺は、

梁山泊の大きな戦力となった。

 

水滸巡礼 建物 横

定州貢院は清代の科挙試験場。

「魁閣号舎」など、かつての試験部屋が今も残る

 

焦挺が生まれた河北省保定市定州市。

酪農や野菜の出荷など、

全国有数の農作地として有名なこの街は、

新石器時代に人がすでに生活を営んでいた。

「千年の街」と呼ばれるこの悠久の地で、

かつて、焦家で代々受け継がれた伝統の技が披露されたことだろう。

 

313水滸 地図

 

~広東ジャピオン2014年7月14日号

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