水滸巡礼~108の足跡~楽和(がくわ)

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山塞に鳴り響く美声
楽和(がくわ)

ゆかりの地 山東省濰坊市昌邑市
あだ名 鉄叫子
職業 機密伝令・歩兵隊長
宿星 地楽星

山東省濰坊市昌邑市出身。地元の獄吏であったが、

親戚の顧大嫂(こだいそう)の従兄弟の脱獄に協力したことが縁となり、

最終的に梁山泊に加わる。

頭脳明晰で戦略や武術に長けており、

歌も得意。方臘の戦いの後は、朝廷内で暮らした。

 

笛の音に喩えられた歌声
歌声を合図に内部撹乱

楽和は音楽の才にあふれる地楽星の生まれ変わりとされ、

登州(現山東省煙台市蓬莱市)にいた頃は、

獄吏として勤めていた。

古今のあらゆる音楽に精通し、その中でも特に歌に秀でることから、

その声を笛の一種「叫子(きょうし)」に喩え、

「鉄叫子(てつきょうし)」の名で呼ばれた。

 

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濰河。同省で最長の河川で、昌邑市を抜けて莱州湾に注ぐ。

全長246km、流域面積6493.2平方km

 

楽和は実の姉の夫である孫立(そんりつ)に槍棒術を教わったが、

ある日、その弟の妻・顧大嫂(こだいそう)の従兄弟、

解珍(かいちん)と解宝(かいほう)兄弟が、無実の罪で牢に押し込まれた。

楽和は、顧大嫂と孫立にこの件を伝えると、救出を呼びかける。

かくして彼らは見事兄弟の救出に成功した。

 

その後、行き場を失った楽和らは、梁山泊に加入するべく策を講じ、

梁山泊が戦闘中の祝家荘に、援軍に参じたと称して内部潜入する。

そして集落一帯に響き渡る、楽和の美しい歌声を合図に反旗を翻すと、

祝家荘を攻略。

これが梁山泊に評価され、彼らは仲間入りを果たすことができた。

 

入山後は機密伝達役として活躍するほか、

宴会の席では燕青(えんせい)の琴、馬麟(ばりん)の笛に合わせて歌を披露しては、

豪傑たちを大いに楽しませた。

梁山泊が朝廷入りすると、

歌の実力を皇帝の娘婿・王都尉(おうとい)に買われ、

余生を平穏に暮らしたという。

 

 

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同市龍池鎮から南方約2kmに位置する城郭遺跡・鄑邑故城。

近年になって大量の銅剣や貨幣が出土している

 

楽和の生まれた山東省濰坊市昌邑市。

山東半島の北西部に位置するこの町は、5000年以上の歴史を有し、

千戟荘龍山文化遺跡や博陸山周代遺跡など、周代の遺跡が200以上も残る。

笛の音のような楽和の歌声は、この地を包むように鳴り響いたのだろうか。

 

342-295水滸巡礼 TIZU

 

~広東ジャピオン2015年2月23日号

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