山塞に鳴り響く美声
楽和(がくわ)
ゆかりの地 山東省濰坊市昌邑市
あだ名 鉄叫子
職業 機密伝令・歩兵隊長
宿星 地楽星
山東省濰坊市昌邑市出身。地元の獄吏であったが、
親戚の顧大嫂(こだいそう)の従兄弟の脱獄に協力したことが縁となり、
最終的に梁山泊に加わる。
頭脳明晰で戦略や武術に長けており、
歌も得意。方臘の戦いの後は、朝廷内で暮らした。
笛の音に喩えられた歌声
歌声を合図に内部撹乱
楽和は音楽の才にあふれる地楽星の生まれ変わりとされ、
登州(現山東省煙台市蓬莱市)にいた頃は、
獄吏として勤めていた。
古今のあらゆる音楽に精通し、その中でも特に歌に秀でることから、
その声を笛の一種「叫子(きょうし)」に喩え、
「鉄叫子(てつきょうし)」の名で呼ばれた。
濰河。同省で最長の河川で、昌邑市を抜けて莱州湾に注ぐ。
全長246km、流域面積6493.2平方km
楽和は実の姉の夫である孫立(そんりつ)に槍棒術を教わったが、
ある日、その弟の妻・顧大嫂(こだいそう)の従兄弟、
解珍(かいちん)と解宝(かいほう)兄弟が、無実の罪で牢に押し込まれた。
楽和は、顧大嫂と孫立にこの件を伝えると、救出を呼びかける。
かくして彼らは見事兄弟の救出に成功した。
その後、行き場を失った楽和らは、梁山泊に加入するべく策を講じ、
梁山泊が戦闘中の祝家荘に、援軍に参じたと称して内部潜入する。
そして集落一帯に響き渡る、楽和の美しい歌声を合図に反旗を翻すと、
祝家荘を攻略。
これが梁山泊に評価され、彼らは仲間入りを果たすことができた。
入山後は機密伝達役として活躍するほか、
宴会の席では燕青(えんせい)の琴、馬麟(ばりん)の笛に合わせて歌を披露しては、
豪傑たちを大いに楽しませた。
梁山泊が朝廷入りすると、
歌の実力を皇帝の娘婿・王都尉(おうとい)に買われ、
余生を平穏に暮らしたという。
同市龍池鎮から南方約2kmに位置する城郭遺跡・鄑邑故城。
近年になって大量の銅剣や貨幣が出土している
楽和の生まれた山東省濰坊市昌邑市。
山東半島の北西部に位置するこの町は、5000年以上の歴史を有し、
千戟荘龍山文化遺跡や博陸山周代遺跡など、周代の遺跡が200以上も残る。
笛の音のような楽和の歌声は、この地を包むように鳴り響いたのだろうか。
~広東ジャピオン2015年2月23日号