桃花山の山賊王
李忠(りちゅう)
ゆかりの地 安徽省滁州市鳳陽県
あだ名 打虎将
職業 歩兵軍将校
宿星 地僻星
安徽省滁州市鳳陽県出身。
薬売りとして全国を回っていたが、桃花山(現山東省濰坊市青州市市)の頭領、
周通(しゅうとう)と出会い、山賊に身をやつした。
その後、呼延灼(こえんしゃく)との戦いを機に入山。
最期は方臘の戦いで敵の矢を浴びて戦死。
流れ者の棒術使い
吝嗇なお山の大将
李忠は、街で棒術の技を披露し、見物人に薬を売って各地を渡り歩いていた。
「梨花槍(りかそう)」なる棒を自在に操り、
物語に有名な棒術使いとして登場する史進(ししん)も、
彼に師事していたというほどの腕前だった。
虎殺しを意味する「打虎将(だこしょう)」のあだ名は自分で付けたものとされる。
鳳陽県中心部から南方30kmの場所に位置する韮山洞。
全長1472mの鍾乳洞で、20ヵ所以上の見所がある
李忠がある日、渭州(現甘粛省隴西県)でいつものように薬を売っていると、
武人として名の知れた史進と魯智深に出会った。
李忠は2人と酒を飲んで親睦を深めた後、山東方面に向かう。
そして桃花山を通りかかった時、山を支配する山賊の周通が襲い掛かってきた。
しかし李忠はその攻撃をものともせず、あっという間に打ち負かす。
周通はすんなりと負けを認めて頭領の座を譲り、
李忠もそれを受け入れ、第1頭領の座に就いた。
そんなある時、宋の将軍、呼延灼の軍が山に攻めてくるという知らせを受ける。
周通がすぐに出陣し、呼延灼を迎え撃ったが、まるで相手にならず、李忠も参戦。
さすがは天下に名の知れた呼延灼、李忠は彼の鉄鞭と何度も撃ち合ったが、
なかなか勝機が見えず、万策尽きたと思われたその時、魯智深と武松、
そして呼延灼を追っていた梁山泊軍が到着する。
呼延灼は捕えられ、李忠とともに入山した。
入山後は周通らとともに歩兵軍に参加。
物語では、武術には優れるものの、商人出身であるため、
金に細かく吝嗇な一面を持つ人物に描かれている。
明中都城遺跡。
明代初代皇帝・朱元璋(しゅげんしょう)が建てた城郭の1つ。
1100m続く西華門台が有名
李忠の故郷、安徽省滁州市鳳陽県。
明代皇帝・朱元璋の故郷であるこの地は、明代随一の都城であった。
「帝王之郷」の呼び名を持つこの鳳陽県から、
李忠は棒を片手に旅立って行ったのだろうか。
~広東ジャピオン2015年4月6日号