暴れ狂う凶神
鮑旭(ほうきょく)
ゆかりの地 山東省徳州市
あだ名 喪門神
職業 歩兵軍将校
宿星 地暴星
河北省、山東省一帯で強盗や殺人を稼業としていた男。
根城の枯樹山(こじゅざん)で出会った李逵(りき)に誘われ、入山。
その後は歩兵軍に配属され、李逵や項充(こうじゅう)らと一丸となって戦う。
最期は方臘軍との戦いにて、敵将に斬られ、戦死。
極悪非道の殺人鬼
李逵の唯一無二の戦友
鮑旭は枯樹山を拠点に、河北、山東省一帯を荒らし、日々殺人に明け暮れていた。
その残忍な性格と、色黒で醜い凶悪な容貌から、
民間伝承に登場する悪神「喪門神(そうもんしん)」のあだ名が付いた。
同市慶雲県の金山寺。中国の伝奇小説『西遊記』では、
三蔵法師がここで出家し、修行したと記される
ある日、鮑旭がいつものように枯樹山界隈を徘徊していると
、梁山泊の李逵(りき)と焦挺(しょうてい)に出会った。
2人がやって来たのは、凌州(現山東省徳州市)の梁山泊討伐軍である
関勝(かんしょう)を攻めるためだという。
ならず者同士の3人はすぐに意気投合、
李逵は鮑旭を戦いに必要な人材と考え彼を誘うと、
元来、暴れることを好む性格の鮑旭は快諾し、一緒に戦うことに。
そこへ、護送車を率いた官軍の兵がやって来る。
鮑旭たちは、官軍が攻めてきたものと思い、手勢を率いて迎え撃った。
鮑旭が刀、李逵が斧をそれぞれ狂ったように振り回すと、
次々と敵の首が戦場を飛び交う。敵兵はほうほうの体で逃げ去り、
残された護送車の中には梁山泊の宣賛(せんさん)と
郝思文(かくしぶん)の姿があった。
2人は凌州攻めで敗れ、捕虜となって護送されていたのだ。
鮑旭たちは、報復戦として凌州に攻め入り見事陥落させ、これを機に入山した。
その後も鮑旭は、李逵らとともに鬼気迫る戦いを見せ、多くの敵兵の戦意を喪失させる。
林冲(りんちゅう)のような威風堂々とした軍人に匹敵する活躍を見せた。
蘇禄国東王墓。徳州市北部に位置する。
1417年に訪中し、帰途で倒れたスールー王国(現フィリピン領)の国王を祀る
鮑旭が戦った凌州は、山東省北西部、黄河下流域に位置し、
新石器時代の遺跡が多く残る「龍山文化」の地として知られる。
喪門神が激しく暴れ回ったこの地に立つと、
彼に劣らない激しさを持つ黄河の音が聞こえてくる。
~広東ジャピオン2015年4月13日号