水滸巡礼~108の足跡~郁保四(いくほうし) 第20回

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309 水滸 人物

 

梁山泊にそびえ立つ山

死ぬまで元帥旗を守る

 

郁保四はかつて山東省青州市で強盗をはたらいていた。

身の丈が2㍍以上もある偉丈夫で、あだ名は「険道神」。

あらゆる人が道を譲るほど大柄だったため、そう呼ばれた。

 

309 水滸 縦 風景

雲門山。

駝山、玲瓏山と連なる景色は、

〝三山聯翠、障城如画(三山一帯の緑、城を遮る絵の如し)〟と評される

 

ある日、郁保四は、200頭ほどの馬を連れて歩く、

梁山泊の段景住(だんけいじゅう)を襲った。

郁保四は馬を奪い、

「曾頭市(そうとういち)」という山賊がいる集落に逃げ込んだが、

そこで、曾頭市一団が以前、

段景住の馬を奪い、梁山泊と戦ったことを知る。

そして今回、郁保四が馬を奪ったため、

梁山泊が再び攻めてくることに。

 

前の戦で頭領の晁蓋を失い、

敵討ちのため勢力を増していた梁山泊。

郁保四は今回、自分たちが不利と判断した曾頭市により、人質に出された。

殺される覚悟であった彼だが、

宋江の計らいで、梁山泊に協力することに。

郁保四は曾頭市に逃げ帰ったふりをして、

梁山泊は隙だらけ、攻めるなら今、と虚偽の報告をした。

曾頭市は早速、梁山泊本陣を攻めたが、本陣はもぬけの空。

結果、梁山泊に囲い込まれ、敗れた。

郁保四はこれを手柄に入山し、

その後は梁山泊の象徴「替天行道」の字が書かれた軍旗を、

戦場で振り続けた。

 

309水滸 横 建物

範公亭公園は、かつてこの地で知事を勤めていた北宋の政治家、

範仲淹(はんちゅうえん)を祀る

 

郁保四の故郷、青州市。

山東省中部に位置する同市は古代、

中国が徐州や梁州など、9つの地域に分かれ、

「九州」と呼ばれていた時代の一地域であった。

当時の繁栄ぶりを物語る北辛文化遺跡、大汶口文化遺跡など、

複数の古代遺跡を擁し、多くの考古学ファンが訪れる。

雲門山など、山東省を代表する山がそそり立つこの地には、

かつて郁保四なる、もう1つの〝山〟が存在したのだった。

 

309水滸 地図

 

~広東ジャピオン2014年6月16日号

 

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