混乱を招く魔王
樊瑞(はんずい)
ゆかりの地 河南省濮陽市範県
あだ名 混世魔王
職業 歩兵軍将校
宿星 地然星
河南省濮陽市範県出身。同省芒碭山に籠る小賊の第1頭領で、
副頭領の李袞(りこん)、項充(こうじゅう)らとともに3000の兵を率いた。
敵対する梁山泊軍を一度は敗退させるも、宋江の義に感服し、入山。
その後は歩兵軍で活躍し、方臘の戦い後は出家した。
天変地異を招く道士
公孫勝から術を授かる
樊瑞は芒碭山を根城にする山賊の首領。
幼少から修行を積んで道士となり、黒い道服に身を包み風雨を呼び起こす力を持った。
世を渡り歩き、ひとかどの武芸を身に付け、
戦場では、縄の先に錘をつけた武器「流星鎚(りゅうせいつい)」を巧みに操る。
この道術と武術を恐れる民から「混世魔王(こんせいまおう)」と呼ばれた。
漢字を発明したとされる蒼頡(そうけつ)が眠る、蒼頡墓。
濮陽市南楽県に位置する
ある日樊瑞は、部下の李袞(りこん)らと梁山泊を併呑する計画を立てる。
それを知った梁山泊軍の史進(ししん)は、先んじて芒碭山に攻め入り、樊瑞と対峙した。
李袞、項充の攻撃に加え、樊瑞の相手を惑わせる道術の前に、
史進らはなす術もなく敗退。
しかし樊瑞が勝利の喜びに浸っていたのも束の間、梁山泊から第2陣が攻めて来た。
対する樊瑞は流星鎚片手に呪文を唱え、狂風を巻き起こす。
辺りに濛々と舞い上がる砂が立ち込めると、辺りは暗くなり、
梁山泊はこの時を待っていたとばかりに、
李袞と項充らの隙を突いて、側面から2人を捕縛。
しばらくして、樊瑞のもとに捕らえられた2人が戻って来る。
樊瑞は2人を解放した宋江の義に感服し、仲間入りを決めた。
山塞にはすでに、世に名が知られる、公孫勝(こうそんしょう)なる道士がいた。
樊瑞は入山後、彼に師事し、雷を起こす道術の奥義「五雷天心」の正法を伝授してもらい、
梁山泊主力の一翼を担うことになった。
濮陽玉皇閣。1531年に建立された道教寺院で、「玉皇大帝」なる神を祀っている
樊瑞の故郷、河南省濮陽市範県。
同省北東部に位置するこの地は、
清朝に現れた揚州を代表する一群の個性派文人画家「楊州八怪」の1人、
鄭板橋(ていばんきょう)が官吏を務めた地として有名だ。
『水滸伝』で一際異彩を放つ怪人、樊瑞の道術はこの地から生まれた。
~広東ジャピオン2015年5月4日号