水滸巡礼~108の足跡~宋江(そうこう) 第1回

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仁徳で人を集めた頭領

水滸伝はここから始まる

 

宋江は、聡明さと慈悲深さを兼ね備えた天魁星の生まれ変わりとされる。

特に武芸に秀でている訳でなく、突出した能力もないが、

義に厚く、困った人には手を差し伸べる。

そのため、人々から「及時雨(恵みの雨)」と呼ばれ、

人格者の頭領として、豪傑たちに慕われた。

 

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水滸文化城は、朱貴酒店や忠義祠など、

物語に登場する場所が、忠実に再現されたテーマパーク

 

 

宋江は山東省鄆城県の下級官吏。

ある日、皇帝へ贈る賄賂を強奪して、

政府に追われていた晁蓋(ちょうがい)という人物を助ける。

晁蓋はその礼として、手下に手紙と金を届けさせた。

しかし、彼はこの手紙を妾に読まれ、最後には脅迫されてしまう。

彼は実際、金を受け取っていなかったのだが、

妾は信じず、「金を払わないなら役所に手紙を持っていく」と言った。

怒った宋江は彼女を殺してお尋ね者となり、長い逃亡生活が始まる。

 

追っ手から逃げるため、宋江は各地を転々とするが、どこにも安住の地はない。

居酒屋で痺れ薬を飲まされ人肉饅頭にされかけたり、

山賊に生き胆を吸い物にされそうになったりと、様々な騒動に巻き込まれる。

しかし、この放浪で多くの仲間を得た宋江は、ついに梁山泊にたどり着く。

そして、この地を舞台に、豪傑たちと共に、

打倒宋王朝の物語を繰り広げてゆくのだった。

 

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鄆城県を代表する建築物、唐塔。

観音寺塔とも呼ばれ、

五胡十六国時代(304~439年)に建立された

 

宋江の故郷、鄆城県は山東省南西部に位置し、

「梁山108将、78人が鄆城に」と言われるほど、

『水滸伝』と関わりが深い場所。

黄泥崗遺跡や唐塔など、物語に登場する場所の旧跡が点在する。

 

実在した人物でもある宋江。

梁山泊第1の星が生まれたこの地を訪れ、ここから『水滸伝』の世界を覗いてみよう。

 

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~広東ジャピオン2014年1月20日号

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