漢方界の風邪薬「細辛」
日本では、沖縄と九州南部を除き、ほぼ全国の山地に自生するウスバサイシン。
葉が薄く、根を噛むとピリッとした辛味があることが名前の由来となっている。
ウスバサイシンの根には、
メチルオイゲノールやリモネンなどの精油が2~3%も含まれており、
鎮静や鎮痛、解熱作用があると言われる。
主に、根および根茎を乾燥させたものを生薬「細辛(サイシン)」として用いる。
中医学で細辛は、寒性風邪に効くとされ、
頭痛を始め、関節の痛み、痰や咳、
喘息、副鼻腔炎などの改善目的で、煎じたものを飲む習慣がある。
また、生理前の頭痛や冷え性にも有効なのだとか。
なお、細辛の配合された方剤には「小青龍」があり、
アレルギー性鼻炎や喘息などの症状緩和に用いられる。
中国雲南省に伝わる民間療法では、
細辛の粉末を卵に混ぜて食べると、血液の通りが良くなると言われている。
また口内炎には、粉末に少量の酢を加えて練ったものを、
へその穴に詰めて寝るとよいのだとか。
ただし、この生薬には毒性があるため、
必ず専門の中医師から処方してもらい、服用すること。
咳を抑え、痰を取り除く効果が期待できる細辛。
風邪引きの季節には、ぜひ押さえておきたい生薬のひとつだ。
~広東ジャピオン2014年12月15日号