南国の海と山里の村
民族同士の文化交流
リー族が暮らす海南島は、〝中国のハワイ〟と呼ばれ、中国一のリゾート地として
知られている。そのため最近では観光産業も盛んになり、土地の開発も進んでいるが、
リー族は農耕を主な生業として暮らしている。
島の中心部から少し離れると、ゴムの林が立ち並び、ゴムの生産が副業になっている
村が点在する。こうした村ではリー族の伝統的な歌や楽器が未だ残り、山の里という
趣きが深い。リー族がよく用いる丸太の楽器「ディンドン」は、2本の丸太を物干し台の
ようなものに紐で吊るし、両手に持った棒で叩く。愛の歌や儀礼の歌などを、音の高さと
リズムの違いで表現する。1年12カ月を歌った『労働歌』は素朴なメロディーを繰り返し
ながら、農作物の成長を歌うものとして有名だ。
1. リー族の子どもたち。顔つきがどことなく東南アジアの民族に近い
2. リー族女性の民族衣装。黒を基調とし、銀細工のアクセサリーとミニの巻きスカート姿がかわいい
3. リー族の伝統的な家屋。現在はこうした家に住む人は少ない
また、顔に独特の刺青をした女たち4人が演じる『米つき踊り』は、米を入れた臼を杵で
つきながら臼の周りを回る。4人がつくタイミングを巧みにずらし、バリ島の〝ガムラン〟を
彷彿とさせる。ほかにもフィリピンと共通する踊りを有するなど、少数民族文化の交流の
様子を見られるのが楽しい。
そして、海南島最南端の三亜湾にある「鹿回頭(ろくかいとう)」には、こんな伝説がある。
その昔、リー族の若い猟師が、1頭の鹿を山の断崖に追い詰めた。鹿はくるりと振り向く
と、美しい女性に姿を変え、その後2人は幸せに暮らし、村を作ったという。
この鹿回頭からは三亜の景色を一望できる。
海南島は、海の幸を味わえる海鮮レストランはもちろん、真珠の養殖も行われ、
食にショッピングに遊びにと、リゾートをたっぷり堪能しよう。
~広東ジャピオン2013年2月18日号