急流を超えた交流
勇壮な祭り「刀竿節」
リス族は雲南省の西北部から、ミャンマーやタイにも分布する。
彼らが暮らす村の多くは山の斜面にあり、山肌に畑を作って暮らしている。
南北に流れる大河・怒江は、
リス族をはじめとし周辺に暮らす人々に限りない恵みをもたらしてきたが、
同時にその急流は両岸の交流を阻んでもいる。
経済的な理由から、なかなか橋を架けることができなかったが、
山の斜面を利用してワイヤーを架け、行き来する方法を編み出した。
山の高いところから対岸へワイヤーを張り、滑車を取り付けて滑り降りるもので、
これを現地の人々は「溜索(リウスオ)」と呼ぶ。
往復できるようワイヤーは交差して架けられ、自分専用の滑車で行き来する。
また、この一帯では、毎週水曜に市が立つため、「溜索」にも行列ができるという。
1.リス族の女性。彼女たちは独自の華麗な民族衣装を着用し、その色彩によって、白リス、黒リス、花リスと区別して呼ばれる
2. 怒江を渡る準備をする人々。遊園地のアトラクションさながらのスリルにも、すっかり慣れている様子
3. 剣の刃を上に向けた梯子。祭りに欠かせない行事の1つだ
リス族の伝統的な祭日には、新年を祝う「闊什節」、
かつての英雄を祀る「刀竿節」、「収穫節」などのほか、少女の成人の儀式「穿裙」がある。
琵琶や口琴、月琴に芦笙などの楽器を奏で、実に賑やかに行われる。
中でも、旧暦の2月8日に行われる「刀竿節」にまつわる、こんな言い伝えがある。
「その昔、この一帯が外敵に侵略された時、
朝廷の命を受け兵隊を率いた王驥が、険しい山を越えてやって来た。
彼はリス族と共に戦って侵略軍を敗り、土地を守った。
王驥の死後、人々は彼を記念し、祭りを行うようになった」。
刀の梯子を登る「上刀山」、真っ赤に焼けた炭の上を歩く「下火海」など、
勇壮さを確かめるかのような演目に彩られるこの祭り。
雲南リス族の村を訪れたなら、これを見ない手はない。
~広東ジャピオン2013年6月3日号