民族訪ねて三千里~チンポー族(景頗族) 第38回

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精霊の声が聞こえる地

勝利の喜びを表す舞

 

チンポー族は、雲南省南部から、隣国のミャンマー北部にかけて暮らす。

彼らは古代、西康・チベット高原の南部で生活した後、

清朝初期に現在の居住地である徳宏地区に移住し、

アチャン族や漢族など他の民族と共に山間地帯で暮らすようになった。

 

彼らの生活を主に支えるのは農業。

そのほか、自然万物に精霊が宿るというアニミズムを今日でも重視し、

「天鬼」、「地鬼」、「家鬼」と、それぞれ天、地、家の精霊を祀り、

これにちなんだ行事も行われている。

その中で、最も大きいのが毎年旧暦1月に行われる「目瑙縦歌祭」というもの。

「目瑙縦歌」とは、「集まって皆で踊る」ことを意味し、

何千人と集まった村人たちが、太陽神を表す柱の周りを舞い、豊作や無病息災を祈る。

この催事は男性が刀を持って踊る姿が特徴的で、その由来には、次のような伝説がある。

 

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1. チンポー族の女性の衣装。豪華な銀飾りと刺繍が施されている

2. 彼らの主食であるもち米。蒸して食べるほか、餅風にして食べることも

3. 中国とミャンマーの国境にある瑞麗市姐告口岸。姐告大橋の向こうはミャンマーのシャン州

 

「かつて、チンポー族が平和に暮らしていた頃、突如、人の子を喰う魔王が現れた。

ある日、村人たちが、子どもを生贄として差し出すことを拒んだため、

魔王は怒り、洪水を起こし、水で田を埋もれさせた。

その時、雷盼というチンポー族の若者が現れ、魔王に立ち向かっていった。

1人で勇猛に戦うその姿に感動した太陽神は、彼に聖なる刀を与え、

雷盼はその刀でついに魔王を滅ぼした」

 

その後、平和の到来を喜んだチンポー族の人々が、この勝利を祝い、

皆で舞ったものが「目瑙」。勝利の証として、刀を持つ振り付けになったという。

 

この「目瑙縦歌」を通じ、艶やかな衣装で舞う彼らと、

精霊たちの強い息吹を、肌で感じてみたいものだ。

 

~広東ジャピオン2013年9月2日号

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