百薬のスベリヒユ
畑や道端に生え、四方に根を伸ばし、
作物の成長を妨げることから嫌われがちなスベリヒユ。
英語名は「パースレイン」、フランス語では「プルピエ」と呼ばれる。
日本では同属のポーチュラカが観賞用として栽培されているが、
トルコやギリシャなどでは野菜として料理に用いられることが多い。
味はクレソン、またはホウレンソウによく似ており、
シャキシャキとしていて少しぬめりがある。
このスベリヒユ、中国では主に農村で山菜として食し、
〝天然の抗生物質〟と言われるほどの抗菌作用を持つ。
中国医学では「馬歯莧」と呼ばれる生薬で、皮膚のイボや吹き出物に効果が大きいとか。
また、消化吸収のバランス調節に作用するため、慢性の腸炎などに処方することがある。
そのほか、民間療法では葉の汁を虫刺されに塗ることもあり、
古代ローマの百科全書でも、様々な傷病に効く薬草として紹介されている。
スベリヒユは生・加熱両方の調理に適しており、山形では茹でてからし醤油で食べたり、
干して保存食にするほか、沖縄では「ニンブトゥカー」と呼び、
葉物野菜の不足する夏季は炒めて食べる。
野に出てみずみずしいスベリヒユに出会ったら、
摘み取って食べてみるのも、夏の楽しみの1つとなりそうだ。
~広東ジャピオン2013年5月27日号