薬膳スープで心気を高める
天麻とは、ラン科のオニノヤガラという植物の根茎で、果実を天麻子(テンマシ)という。
中国雲南省・四川省・貴州省や日本各地の低温な地域に見られるが、
キノコの一種から栄養提供を受けなければ成長できず手がかかるため、
日本では栽培されていない。
上海では、天麻を食すことはほとんどなく、生薬としてのみ生活に登場するが、
雲南省では家庭で最もよく食卓に上る食材である。
その代表として、鶏肉と天麻を一緒に煮て塩コショウで味付けした「天麻炖鷄」や、
薄切りにした天麻をお肉と一緒に甘酢で炒めた「糖酢天麻肉」がある。
これらは眩暈や偏頭痛に有効とされ、このほかスープやお茶としても頻繁に摂られている。
そのほかの地域では、漢方薬として天麻を摂取することが多い。
市販の「半夏白朮天麻湯」は、身体の水分循環を促し、
血圧の変化による眩暈や頭痛、吐き気、耳鳴りなどの症状に適している。
また、曇天や雨天時に頭痛が起こる人や、
胃腸が弱く冷え性で、肩こりから来る吐き気に悩まされる人にも効果的だとか。
さらに天麻や杜仲を漬けたお酒を長期間服用すると、
活力・気力が増し、足腰を強く身体を軽くすると言われている。
雨が多く、気持ちが沈みがちな季節には、天麻の温かい薬膳スープを試したい。
~広東ジャピオン2013年7月8日号