水滸巡礼~108の足跡~馬麟(ばりん) 第9回

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梁山泊に鳴り響く笛

二刀流で戦場を彩る

 

馬麟は、欧鵬(おうほう)率いる山賊、黄門山3番目の頭領。

欧鵬が宋江に出会い、梁山泊に加わることを決意すると、

彼に従い、蒋敬(しょうけい)ら、ほかの仲間とともに入山。

 

物語では、彼に関して次のような詩が詠まれている。

「鉄笛一声山石烈 銅刀両口鬼神驚 

馬麟形貌真奇怪 人道神仙再降生

(鉄笛をひと吹きすると山石は裂け、

双刀は鬼神のように凄まじく、怪奇な風貌で、

仙人のような人間が舞い降りた)」。

この詩からもわかるように、

馬麟は笛と刀に長けた人物で、人々から「鉄笛仙」と呼ばれていた。

 

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湯山温泉は南北朝時代(439~589年)に発見され、

1500年以上の歴史を誇る。同じく南京市郊外に所在

 

もとは街のゴロツキだった馬麟。

その頃から、「消魂無双笛」なる笛を吹き、

無頼ではあったが、その腕は確かとされていた。

梁山泊に加わってからは、一行が集まる宴の席で、

笛の腕前を披露するなど、宴に華を添える役目も。

 

そして戦場では、双刀を振り回す武人として活躍。

100人を相手にしても引けを取らないと評され、

「祝家荘の戦い」では、

同じく二刀流の敵将、扈三娘(こさんじょう)との一騎打ちを繰り広げる。

4本の刀が飛び交い、火花を散らす戦いは、

見る者が息を呑むほど壮絶だった。

最期は、杭州の戦いで、敵軍の猛攻に最後まで抗う中、

敵将の投槍を受け、軍人としての生涯を終えた。

 

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南京市郊外の陽山碑林。

明朝第3代皇帝永楽帝が初代皇帝朱元璋の功績を称え、

碑を建てようと試みた場所

 

馬麟が育った南京市江寧区。

街には長江水系の川が流れ、「湯山温泉」など、

水資源が豊富な場所として知られる。

また、将軍山風景区、方山風景区など山が多く、

江寧の山と川が入り混じった風景は、

李白や蘇軾など、歴代の名詩人によって詠まれた。

馬麟の笛も、この山々にこだましていたことだろう。

 

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~広東ジャピオン2014年3月24日号

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