水滸巡礼~108の足跡~魯智深(ろちしん) 第6回

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義に厚い入れ墨坊主

柳の木を素手で引き抜く

 

魯智深は、本名を魯達という。

物語では、身長が2㍍近くある巨漢で、粗野な性格ではあるものの、

曲がったことを嫌い、弱者を助ける義侠心に富んだ人物として描かれている。

出家して、全身に花の入れ墨をしていたことから、「花和尚」と呼ばれた。

 

彼がまだ魯達と呼ばれ、村の小官をしていた頃、

ある酒屋に、旅芸人の父娘がいた。

村の庄屋に虐げられている父娘を見た魯達は、

庄屋を完膚なきまで殴り、殺めてしまった。

この件で彼はお尋ね者となり、逃亡生活が始まる。

 

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岩山寺は五台山にある代表的な寺院の1つ。

山の北麓に位置し、1158年に建立された

 

父娘は、逃亡する彼に、仏門の名山、五台山への出家を勧める。

魯達は話を受け入れ、早速剃髪をし、魯智深と名を改めた。

しかし、元来気性の荒い彼は、寺の生活に馴染めず、

酒を浴びるように飲み、寺の仁王像を壊すなど、戒律を犯して破門に。

その際、1人の長老が彼に、現在の河南省開封市にある大相国寺に行くよう諭した。

 

大相国寺に着いた魯智深は、寺の菜園の門番を任されるが、

ここでも豪傑ぶりを発揮する。

ある日、1人の農民が、大きな柳の木に、卵が入った鳥の巣を発見。

魯智深は農民のため、柳の木を両手で根から引っこ抜いてやった。

こうして人助けを通じ、彼の名は徐々に知られていくが、

やがて梁山泊を目指す武松(ぶしょう)らに出会い、水滸の世界へと誘われる。

 

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世界遺産に登録されている五台山。

合計40以上の寺院が点在し、かつては日本からも多くの僧が訪れた

 

魯智深が出家した五台山は、山西省北東部に位置し、

中国5大避暑名山の筆頭に挙げられる。

彼はこの地で数々の騒ぎを起こしたが、長老の言葉だけは聞き入れ、

ここから梁山泊へと旅立った。

花和尚・魯智深誕生の地として、今でも多くの旅人が五台山を訪れる。

 

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~広東ジャピオン2014年3月3日号

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