中近東の商人がルーツ
回族版〝一休さん〟
回族は、中国の少数民族の中でも分布地域が最も広い民族だが、
中でも寧夏回族自治区がその中心だ。
そのルーツは、1000年以上も昔、
中近東からやって来たアラブ・ペルシア系の人々と言われる。
近年では混血が進み、漢語を母語に持つが、
イスラム教信仰はいまだ強く、
服装や食生活もその教えによるところが大きい。
回族という名も、昔イスラム教を「回回」と呼んでいたことに由来する。
回族の間では、イスラム暦12月10日の〝イード・ル・アドハー(犠牲祭)〟を、
新年の始まりとして祝う。
祭りの前日には家中を掃除し、羊や牛、鶏を用いた豪華な食事を用意。
当日の朝は身を清め、香を焚いて、モスク(清真寺)へコーランを聞きに行く。
1.回族の女性のベールは、既婚女性は黒、お年寄りは白とされている
2. 一般的なモスクと異なる外観を持つ清真寺は、回族の精神の中心地
3.上流から黄土を大量に運び、滔々と流れる黄河
また回族には、「アファンティ(阿凡堤)」という、
日本の一休さんのようなとんちの達人の伝説がある。
ある国王に〝頭が良くなる薬〟を所望された国民に、
アファンティは泥を捏ねた物を用意させる。
国王はこれを服用するが、一向に頭が良くならない。
薬が偽物と知った国王は激怒し、呼び出されたアファンティはこう答える。
「偽物だと見抜いたなんて、頭が良くなった証拠です」と。
国王は困り果て、アファンティを無事に帰したのだった。
古くは貿易商人として、シルクロードを切り拓いたとされる回族。
シルクロードの通過する寧夏回族自治区では、
「天下黄河富寧夏(天下の黄河が寧夏を富ます)」という言葉の通り、
悠々と流れる黄河が絶景を作り上げている。
果てなく広がる砂漠と高山に囲まれた回族の故郷を、一度は訪れたいものだ。
~広東ジャピオン2012年12月10日号