民族訪ねて三千里~タジク族(塔吉克族)第26回

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遊牧民の家族の絆

天翔ける鷹笛の音色

 

タジク族は、中国少数民族の中で唯一のペルシャ系民族で、

「タジク」とは現地の言葉で「王冠」を意味する。

パミール高原の西南部に住んでいた人々が移住してきたと考えられており、

伝統的に大家族で生活していることが多い。

遊牧はチームワークが重要なため、信頼のおける家族の絆が反映される。

 

タジク族は、天空を舞う勇壮な鷹を、聖なる生き物として敬い、

民族のシンボルとしている。祭りに鷹の舞と、鷹の翼の骨で作られた笛

「ノイ」を欠くことができないのは、こんな伝説に由来する。

 

「その昔奴隷として暮らしていたタジク族は、鷹を伴う狩猟の腕で知られていた。

タジク族の少年ワーファの祖父は、ある日カモシカを捕えたが、領主に奪われ、

気を落として死んだ。その後ワーファの父親が熊を捕え、奪われることを恐れて

逃げたが、領主は見つけ出して焼き殺してしまった。ワーファは悲しみに暮れ、

祖父の残した100歳になる鷹に想いを嘆いた。

 

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1. 祭の食事風景。家内では、家父長制が根強く残り、仕事の段取りや家畜の売買など、何事につけても父親の許可を必要とする 2.ラクダを放牧するキャラバン 3. 街の中では、民族のシンボルである鷹を見つけることができる

 

しかし領主は、ワーファにその鷹までもを差し出すよう命じた。

すると鷹は〝私を殺し、翼の骨で笛を作りなさい。その笛を吹けば、

どんな望みも叶いましょう〟と言うのだった。ワーファが涙をのんで鷹を殺し、

作った笛を吹くと、鷹の大群が領主の頭上へ押し寄せ、

領主に、牛や羊、ラクダをタジク族の人々に与えることを約束させた」。

 

天候が目まぐるしく変わる雄大な自然の中、人々は家族で羊を追い、機を織り、

羊の乳を搾り、バターを作る。山にこだまして響く「ノイ」や、孤独な気持ちを歌う

放牧の歌「ファラク」に耳を傾けよう。

 

~広東ジャピオン2013年6月10日号

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