農業、狩猟を日々唄う
伝説から誕生した競技
高山族は、福建省華安県及び浙江省沿岸部、中国台湾に暮らす。
中国南東沿岸部の古越人(古代ベト人)を血筋に持ち、
かつて多民族の侵攻を避けるため、山岳地帯に避難し、
居住し始めたことから、高山族と呼ばれるようになった。
彼らは、農耕や牧畜、狩猟などを生活の糧とし、
民謡や行事から、その生活ぶりが覗える。
代表的な民謡として「種稲歌」や「捕鹿歌」など、
農業や狩猟の快楽や苦悩を歌ったものが多いが、
何と言っても特徴的なのはそのリズム。
2/4拍子、4/4拍子など、偶数拍子でリズムを取り、
口琴の「嘎洛波」や鼻に直接当てて吹く「鼻簫」という、
竹で作った独自の楽器を鳴らし、曲に重みを加える。
1. 高山族の女性の衣装。鮮やかな赤色を大きく取り入れた衣装を纏う
2. 「イリシン」と呼ばれる豊年祭では、民族舞踊が披露される
3. 福建省の山岳地帯にある「土楼」は世界遺産にも登録されている
また、伝統的な競技に「刺球」というものがある。
これは「竿球」とも呼ばれ、空中に投げられた球に、
競技者が竹竿で下から球を突き刺すというもので、多く突き刺した者が勝ちとなる。
一見、変わった競技だが、これにまつわる、次のような伝説がある。
「かつて、高山族の若者が火の番をしていた時、1頭の虎が突然現れ、
火を消そうとした。若者は竹竿で虎を突き刺し、火を守りぬいた。
後に、彼の勇敢さを称え、この競技が行われるようになった」。
高山族は毎年、たくさんの祭日があり、
旧暦8月15日は彼らの五穀豊穣を祝う祭日「豊年祭」、
旧暦10月25日には「刺球」で先祖を敬う「竹竿祭」が行われる。
多数の旅行客が訪れる。
山地に高く鳴り響く彼らの民謡や躍動感溢れる「刺球」を鑑賞し、
自然と共存する彼らの生活を覗いてみたいものだ。
~広東ジャピオン2013年8月26日号