冬本番を迎えた広東。
皆さんの周りでも体調を崩し、「ゴホン、ゴホン」と咳き込む人が多いのでは?
そこで今回は、中国で行われている風邪の民間療法をドドンと紹介。
使える療法から、少し疑問符が浮かぶ療法まで、
「BODY&SOULメディカルクリニック」の古川裕三先生の解説・感想を交えつつ見ていこう。
中国人の友達に、のどが痛いとか風邪引いたとか話すと、
喉をつねられ、黒ずんだことはないだろうか。
これは悪い血を出して体調を良くするという民間療法だが、
これについて古川先生は「つねるのは良くないですが、
中医学では痰を出し易くし血行を良くするため、
のど周りを優しくマッサージする治療法がある」という。
やり過ぎない程度にのどを揉んでみたいものだ。
スイカとトマトをミキサーにかけて作る、ミックスジュースを飲む療法。
冬場はスイカを探すのが結構大変なのが玉にキズだが、
彩り豊かで、味もなかなかイケる。
効能の方もなかなかのようで、
「スイカは解熱作用があり、のどが痛い人に良く、
トマトもビタミンCが多く含まれていいですね」と古川先生。
熱っぽいときや食欲がないときに、水代わりに飲んでみたい。
全身の疲れやストレスを軽減するという足浴。
そこで風邪を一気に治してしまおうという目論見か、
熱湯を使って足浴し大汗をかくという、かなり極端な療法が存在する。
いくら何でもこれはと思いつつ古川先生に尋ねると、
「余計に疲れるでしょうね」と逆効果になることを示唆してくれた。
風邪には疲労は良くないので、
適度な温度で足浴をして眠り、疲労回復に努めるが吉。
中国で、スイーツとしても風邪の民間療法の食材としても有名な、蒸した梨。
日本人にはあまり馴染みがなく、独特の食感に面食らうかも知れないが、
「梨はのどを潤し、咳を止める作用があるので、とてもいいと思います」と、
古川先生もその効果に太鼓判を押す。
なお、梨の上部を繰り抜いて氷砂糖を入れ、
30分ほど蒸したものを食べるとより効果的とされる。
のど飴を舐めるというのは、風邪でのどが痛いときによくする行為だが、
民間療法で生ニンニクを舐めるというものがある。
辛さがなくなるまで舐めるというが、
古川先生は「ニンニクは刺激が強く、胃の粘膜を傷つける恐れがあるので、
生のものは避けた方がいい」と危険シグナルを発する。
焼くなり料理に使うなりして、
解熱作用が期待できる方法で摂取するのがベター。
お酢を飲み、臭いを嗅ぐことで、身体の中を殺菌するという療法。
掃除洗濯でカビ対策として用いられるお酢だが、風邪に対する効果や如何に?
お酢に関し、古川先生はこう解説する。
「酢を嗅ぐと唾液が出るので、口腔の清潔化には良いですね。
ただ臭いがかなり強いので、そのストレスを考えると…」と。
お酢によるストレスで風邪が悪化しない程度に、試してはいかが?
飛び跳ねて汗をかくという、これまた極端な風邪治療法がある。
汗をかくのは風邪の治り始めと言われるので、良いことと思えなくもないが、
古川先生は予想通り「悪化するでしょう」とひと言。
エネルギーを大量に消費して、抵抗力が弱くなるのが目に見えているため、
オススメできないのだ。
適度に休み食事をしっかりとって、体力をつけるのが、回復の近道である。
一部では、歯磨き粉をいわゆるこめかみにあるツボ・太陽穴に塗り込む
という療法が行われている。
太陽穴は歯痛や頭痛などの緩和に効果を発揮するというが、
古川先生曰く「目に入る危険性がありオススメできない」とする。
そもそも太陽穴で改善できるのは筋肉由来の痛みで、
風邪由来の痛みには意味を成さない。
あとはプラシーボ効果に期待するのみといったところか。
~広東ジャピオン2014年2月17日号