民族訪ねて三千里~ヤオ族(瑤族) 第16回

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海を渡り畑を焼く

女性から生まれた女書

 

ヤオ族は、中国南部から東南アジア北部にかけて広く分布し、

中国国外にも15%程度が暮らしている。

中でも、雲南省や湖南省に挟まれた広西チワン族自治区には、

ヤオ族自治県が点在し、大分散・小集中といった特徴を持つ。

焼畑を行いながら移動してきたヤオ族は、海南島から桂林、ベトナム、

そして現在の居住地に落ち着いたと言われている。

 

ヤオ族は、古代中国の王女と「盤瓠」と呼ばれる犬の間に生まれた、

12姓の人々を始祖とするという民族の伝承を有する。

この伝承が史記に収録され、後に日本に伝わって

『南総里見八犬伝』に取り入れられたと言われている。

 

盤瓠を崇める祭りには、こんな由来がある。

昔ヤオ族が海南島に住んでいた頃、3年続いた干ばつのため、

島民は海を渡り島を出ることを決めた。

しかし1年かかっても渡ることが出来ず、海の上で盤瓠に助けを求めたところ、

3日と経たず岸へ辿り着いた。

そこで人々は盤瓠に感謝するため、祭りを催すのだとか。

 

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1. ヤオ族の老女。生まれた時から伸ばし続けている長い髪をおでこで結いあげ、三角形の帽子を被る

2. 伝統的な家屋は、山間の斜面に建ち、泥壁と瓦屋根を特徴とする

3. 桂林山水の精華が集まる陽朔鎮

 

また、この地域ではその昔、女性が文字を学習することを良しとしなかったため、

「女書」という文字が生み出された。

女書は主に、姉妹や兄弟の妻など、女性親族間で用いられ、

男性が女書を学習することを禁じたという。

最後の伝承者が亡くなった後も研究は続けられているものの、

絶滅の危機に瀕している。

 

この地域を訪れる観光客に人気なのは、やはり漓江クルーズだろう。

終点となる陽朔では、映画監督・チャン・イーモウ(張芸謀)指揮による

大規模な山水ショー『印象劉三姐』をぜひとも観てほしい。

 

~広東ジャピオン2013年3月25日号

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