民族訪ねて三千里~タイ族(傣族)第54回

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昔から続く自然との共存

孔雀のように羽ばたく

 

自然豊かな河川流域に暮らすタイ族は、

新石器時代からその存在が確認されている。

昔から穀物や野菜、魚、昆虫を主な食糧とし、

竹を骨組みにした、「竹楼」と呼ばれる高床式住居に暮らす。

農園ではコメやバナナ、ゴムの木などの農作物を栽培し、

自分たちの食糧や生活道具に充てるなど、

自給自足の生活を送る民族として有名だ。

 

また、彼らは独自の民俗文化にも

自然の要素を取り込んでいる様子が窺える。

タイ族の伝統舞踊には「魚舞」や「大鵬鳥舞」など、

動物の名前が付けられたものが多い。

中でも代表的な踊りが「孔雀舞」。

象脚鼓と呼ばれる太鼓の伴奏に合わせて、

孔雀のように手足を広げ舞うこの舞踊には、

次の伝説がある。

 

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1. 民族衣装を纏った女性。

黒地に赤や緑などの模様が刺繍された、色鮮やかなスカートを腰に巻く

2. 「孔雀舞」で使用される「象脚鼓」。

太鼓の表面が象の足に似ていることから名付けられた

3. タイ族で最も重要な行事「溌水節」は、

1年の無病息災を願い、道行く人に水をかける

 

「その昔、タイ族の狩人たちが狩猟に出ていた時のこと。

彼らが湖に着くと、果実が水面に落ちる音と、

魚がそれを食べる音に合わせて、

1羽の孔雀が翼を広げ、優雅に踊っていた。

狩人たちは孔雀の舞いに魅了され、

帰宅後、孔雀が踊っていた動作や音を模倣し、

1つの舞踊を完成させた。

孔雀の歩く、水浴びをする、羽ばたくといった

あらゆる動作を表現したこの踊りは、

いつしかタイ族の伝統芸能を代表するようになった」

 

今日では、孔雀はタイ族にとって幸福、善良、美麗の象徴とされ、

タイ族の居住地である雲南省徳宏は〝孔雀の郷〟と呼ばれる。

毎年4月中旬に行われる「溌水節(水かけ祭り)」では、

孔雀舞を始めとする民族舞踊が披露される。

怒江に沿った雄大な自然に身を置き、水が飛び、太鼓が響く中、

本物の孔雀のように優雅に舞う彼らの姿を、目に焼き付けたい。

 

~広東ジャピオン2014年1月6日号

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