刺繍と舞の民族
星と竜が支える村
ミャオ族は中国の貴州、湖南、雲南、四川、広東、湖北の一部のほか、
タイやラオス、ベトナムにも分布する。
その中でも、ミャオ百族と呼ばれるほど、さらに細かい区別があり、
部族ごとに異なる刺繍模様を持っている。
女性は5~6歳から刺繍を学び始め、ミャオ族同士はお互いに、
この刺繍でどこの者で未婚・既婚、年齢も識別していたものだが、
この固有の文化は消えつつあるとか。
ミャオ族という名称は中国のものであり、ベトナム語ではモン族と呼ばれる。
彼らは中医学とは違う独自の医学を持ち、
病気の治療には大麻やケシを用いて、時にはマラリアまで治すことができたという。
1.ミャオ族の民族衣装。女性は結婚前に、生涯着る衣装を20セット作っておくという
2.小高い山々に囲まれた大地。山間には少数民族が暮らす村がある
3.カルスト地帯の山肌。ここにも田を作る。
様々な少数民族の中でも、ミャオ族の「蘆笙舞」と呼ばれる踊りは、
様式の独自性、音楽性の豊かさで群を抜いている。
濃紺の布を頭に巻き、足首までの長い衣装で、横縞の前掛け風のものを着ける。
笙の大きさは、最長で5㍍に達し、地面を揺るがすような分厚い中高音が特徴。
舞の種類も昔は120以上あったが、今でも伝えられているのはおよそ10程度。
〝天の星が空を支え、竜が地を支える〟などの言い伝えが込められており、
祝い事や作物の実り、生活の平安を祈願して踊る。
貴州省は、人口の約4割を少数民族が占め、自治州も多い。
土地の8割が石灰岩に覆われたカルスト地帯で、
茘波の森林カルストは「中国南方カルスト」の1つとして
2007年に世界遺産に登録された。
中でも、峰林、峰叢と呼ばれる円錐形の小高い山々は、
まさに絶景。ゆっくり散策して、雄大な姿を堪能したい。
~広東ジャピオン2012年12月3日号