多芸多才の美男子
最後まで義を尽くす
燕青は、伊達男を意味する「浪子」なるあだ名をもち、
細身で色白の美男子であった。
射撃用の武器「弩(ど)」の名手で、拳法の腕も立つ。
また、武芸だけでなく楽器や歌、学問にも長け、多芸多才な青年であった。
泰山の麓にある岱廟は、皇帝が泰山に登る際、
必ず立ち寄った場所。
「中国4大古建築群」のひとつに数えられる
燕青は幼くして孤児の身となったが、資産家の盧俊義に拾われた。
盧俊義は彼に武芸や学問を習わせ、大切に育てたため、
燕青は成長するにつれ、彼に絶対的な忠義を誓うようになった。
そんなある日、盧俊義のもとに、
梁山泊の呉用(ごよう)が、占い師に扮して訪ねてきた。
そして、盧俊義を仲間に引き込むため、彼の顔に剣難の相があると告げ、
山東省泰安に行って厄を払うよう促す。
燕青は、盧俊義が泰安に行き、
悪党の巣窟である梁山泊付近を通るのは危険だと進言するも、
盧俊義はこれを聞き入れず、番頭の李固(りこ)を伴って出発し、
燕青は留守番を任される。
やがて、李固らが戻って来たが、盧俊義の姿がない。
もともと私心のあった李固は、盧俊義がいない間に、
彼を役所に訴え、店を乗っ取っていたのだった。
そして、李固の計略で盧俊義は捕らえられる。
燕青は護送される彼を追い、弩で護送役を打ち取った。
その後、盧俊義はまたも捕らえられるが、梁山泊の援助を得て助け出される。
2人は梁山泊に感謝し、入山。
以降、燕青は主へ忠義を尽くしつつ、梁山泊歩兵軍として活躍してゆく。
泰山。標高1545m。
古くから道教の聖地として知られ、
歴代の皇帝が封禅の儀式を行った
燕青の主、盧俊義が訪れた山東省泰安市。
中国五名山の筆頭、泰山が位置する市で、
同省を代表する都市として知られる。
盧俊義が泰安に行った時、燕青の同行は叶わなかったが、
それでも彼の心は、常に盧俊義に寄り添っていたことだろう。
~広東ジャピオン2014年4月7日号