民族独自の茶摘み歌
世界遺産の土楼と山
シェ族は、独自の言語を有するものの、
大多数は同じ福建省に暮らす客家の客家語を話す者が多いという。
独自の言語を話すのは、広東省に住む一部のみで、
彼らは自分たちのことを「活聶」と称し、シェ語を「山客話(山の言葉)」と呼ぶのだとか。
祖先崇拝に熱心なシェ族の年中行事として、
旧暦の3月3日の「三月三(ソムギュエッソム)」がある。
この日、シェ族の人々は「畲歌(シアコー)」という即興の歌で祖先を祀り、
木の葉の黒い煮出し汁で炊いたもち米を食べる。
1. シェ族の女性。祭日には、華やかにドレスアップした女性が集う
2. 土や石、藁を使用し太陽で固めた土楼は、耐震・耐火性にも優れているという
3. 黄山・桂林と並び、誰もが1度は訪れたいと言われる武夷山
元々焼き畑農業で生活してきたシェ族だが、近年はお茶の栽培が盛んになってきた。
2人の女性が茶葉を摘みながら歌う「寧徳調」は、全く違う2つのメロディを重ねるもので、
これは「双音」と呼ばれるシェ族独特の合唱法である。
このほか、シェ族の有名な史詩「高皇歌(ガオファンゴ)」は、
男性が「仮声」と呼ばれる甲高い裏声で歌う。
歌詞の内容は、民族の始祖「盤瓠(バングー)」の功績や天地開闢後の人類の誕生、
シェ族の4つの姓「盤、雷、藍、鍾」の由来、冠婚葬祭の習俗、
そして民族移動の歴史など、様々なものを編んでいる。
シェ族の村は1つひとつが独立する形で存在し、
そのためか村によって女性の髪形や民族衣装も大きく異なる。
黒を基調としたもの、赤い布で頭部を大きく覆ったものなど、
結い上げた髪や刺繍が鮮やかだ。
福建省には、世界遺産の福建土楼と武夷山がある。
土楼は客家の人々が一般住宅として作ったもので、
生活を守る工夫が施された特徴的な建造物として名高い。
宿泊可能な土楼もあるので、現地の人の暮らしに触れてみるのもいいかもしれない。
~広東ジャピオン2013年1月28日号