民族訪ねて三千里~チワン族 第9回

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民族独自の茶摘み歌

世界遺産の土楼と山

 

シェ族は、独自の言語を有するものの、

大多数は同じ福建省に暮らす客家の客家語を話す者が多いという。

独自の言語を話すのは、広東省に住む一部のみで、

彼らは自分たちのことを「活聶」と称し、シェ語を「山客話(山の言葉)」と呼ぶのだとか。

 

祖先崇拝に熱心なシェ族の年中行事として、

旧暦の3月3日の「三月三(ソムギュエッソム)」がある。

この日、シェ族の人々は「畲歌(シアコー)」という即興の歌で祖先を祀り、

木の葉の黒い煮出し汁で炊いたもち米を食べる。

 

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1. シェ族の女性。祭日には、華やかにドレスアップした女性が集う

2. 土や石、藁を使用し太陽で固めた土楼は、耐震・耐火性にも優れているという

3. 黄山・桂林と並び、誰もが1度は訪れたいと言われる武夷山

 

元々焼き畑農業で生活してきたシェ族だが、近年はお茶の栽培が盛んになってきた。

2人の女性が茶葉を摘みながら歌う「寧徳調」は、全く違う2つのメロディを重ねるもので、

これは「双音」と呼ばれるシェ族独特の合唱法である。

このほか、シェ族の有名な史詩「高皇歌(ガオファンゴ)」は、

男性が「仮声」と呼ばれる甲高い裏声で歌う。

歌詞の内容は、民族の始祖「盤瓠(バングー)」の功績や天地開闢後の人類の誕生、

シェ族の4つの姓「盤、雷、藍、鍾」の由来、冠婚葬祭の習俗、

そして民族移動の歴史など、様々なものを編んでいる。

 

シェ族の村は1つひとつが独立する形で存在し、

そのためか村によって女性の髪形や民族衣装も大きく異なる。

黒を基調としたもの、赤い布で頭部を大きく覆ったものなど、

結い上げた髪や刺繍が鮮やかだ。

 

福建省には、世界遺産の福建土楼と武夷山がある。

土楼は客家の人々が一般住宅として作ったもので、

生活を守る工夫が施された特徴的な建造物として名高い。

宿泊可能な土楼もあるので、現地の人の暮らしに触れてみるのもいいかもしれない。

 

 

~広東ジャピオン2013年1月28日号

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