北京人に「臭豆腐と言えば?」と質問すると、
ほぼ全員が、答えるであろうブランドがある。
それは「王致和」。調味料のパッケージには、
辮髪(べんぱつ)姿の男性が描かれ、
清の時代から続くという老舗ブランドであることが伺える。
この絵の男性は王致和で、何を隠そう、臭豆腐を発明した人物とされる。
安徽省に生まれた彼は、康熙帝の時代(1669年)、
官僚登用試験「科挙」に失敗し、
実家の豆腐屋で幼い頃学んだ豆腐作りの商売を北京で始めた。
これが、同ブランドの誕生の瞬間だった。
後に目玉商品となる臭豆腐は、夏に売れ残った豆腐を長持ちさせるため、
賽の目に切って陰干しした後乾かし、
それを塩辛い汁に漬けておいた豆腐が発酵したものだ。
清末には、西太后もその臭豆腐をしばしば味わったという。
その後、同店は、〝中国のチーズ〟とも称される発酵食品「腐乳」や醤油、
料理酒なども開発。
中でも腐乳は、北京市場の9割を席巻するに至る。
①臭豆腐
蓋を開ける前から、その名前に違わぬ悪臭を放つ。
塩辛い上に、納豆の何百倍もの臭気が口に残るので、
人によっては罰ゲームを受けているような感覚に陥るはずだ。
お粥と一緒に食べると、マイルドになり食べやすい。
②大塊腐乳
沖縄名物「豆腐よう」に似ているが、豆腐ようより塩辛い。
焼酎のお供に、楊枝の先にちょっとつけて食べたり、
火鍋のタレに加えて楽しむのがオススメ。
③紅辣腐乳
前述の「大塊腐乳」より、辛目に仕上げてあり、香りも良い。
肉類を始め、クセの強い素材に合うので、
上海名物としてお馴染みの中国版豚の角煮「紅焼肉」の隠し調味料として加えると、
肉の旨味がより引き立つ。
~広東ジャピオン2013年9月16日号